てんかんの治療薬「ゾニサミド」が、運動機能が低下する難病・パーキンソン病にも効果があることが、村田美穂・国立精神・神経センター武蔵病院神経内科長らの研究でわかった。これまでのパーキンソン病の治療薬とは異なった効き方をすることから、新しい治療法につながる可能性があるという。2日付の米神経学会誌で発表した。
パーキンソン病は、手が震えたり、体が硬くなって歩けなくなったりする難病。国内で約14万人の患者がいるとされる。はっきりした原因は不明だが、脳内の神経細胞が死んでしまうため、運動や記憶に関連するドーパミンという脳内物質の分泌量が減り、運動機能の低下につながるらしい。 村田さんたちは、てんかん発作を起こすパーキンソン病患者がゾニサミドを飲むと、てんかんだけでなくパーキンソン病の症状も改善することを発見。347人のパーキンソン病患者に、てんかんの治療で使う量よりも少ない量のゾニサミドを12週間飲み続けてもらった。その結果、パーキンソン病の診断基準で運動機能が30%以上改善した人が3〜4割に上った。 パーキンソン病の治療は現在、ドーパミンのもとになる物質を脳内に直接投与する方法が中心。ゾニサミドを使うと、ドーパミンの産生を促すとみられる。村田さんは「これまで、あまり効果がなかった人にも、効果的な治療法につながる可能性がある」としている。