「光伝導効果」とは?太陽電池などに応用される、光があたると電子を出す物質が電子を受け取る物質との間で電子をやりとりして電気が流れる現象。光で照らすと電気を流す、太陽電池のような微小チューブを日本の研究チームが開発した。米科学誌サイエンスに論文が掲載された。
新しくさらに効率のよい太陽電池を開発するには、電子をやりとりするこの両物質が互いに混ざり合わず、しかも広い面積で接触することが望まれる。だが、そのような構造を実際につくるのは難しかった。 今回、研究チームは、バラバラの分子が自動的に組み上がる「自己組織化」と呼ばれる現象を利用。両物質が連結した分子を室温で溶液に溶かしたところ、電子を出す部分を、電子を受け取る部分が包んだチューブが出来た。 チューブは太さ16ナノメートル(ナノは10億分の1)、長さは数マイクロメートル。暗いところでは電流を通さないが、紫外線や可視光をあてると、電流が1万倍も流れやすくなる光伝導効果が確認された。 同チームの研究責任者、相田卓三・東大教授(化学生命工学)は「これまでにこのような素材はなく、光エレクトロニクスの発展に大いに期待できる成果だ」といっている。