シンガポールの観光地、セントーサ島に、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」や水族館を取り入れた巨大カジノリゾート施設が2010年に誕生する。 シンガポール政府はカジノ解禁をてこに、海外観光客を15年までに現在の2倍となる1700万人に引き上げる計画で、東南アジア市場で香港、マカオなどとの観光客争奪戦が白熱。ブルームバーグによると、シンガポール政府は11日までにマレーシアのカジノ運営会社、ゲンティングにカジノリゾート施設の建設を認可した。
このカジノリゾート開発プロジェクトは「リゾート・ワールド・アット・セントーサ」と呼ばれ、10年にセントーサ島に家族連れで楽しめる複合施設をオープンさせる。投資額は52億シンガポールドル(約3900億円)に上る。 ユニバーサル・スタジオのほか、世界最大となる水族館や1600席の劇場、小売店や客室数1830室のホテルを併設する計画。ブルームバーグによると、アナリストは「ユニバーサル・スタジオの集客力は大きく、多くの来場数を集められるだろう」と予想している。 AP通信によるとリム・フンキャン通産相は同プロジェクトによる経済効果を「15年までにシンガポールの国内総生産(GDP)の0・8%に相当する27億シンガポールドル(約2000億円)と3万人の雇用を生み出す」と試算するなど、大きな期待を寄せている。 シンガポールではすでに、ビジネスマン向けのカジノ施設開発計画も動き出している。 米カジノ経営大手のラスベガス・サンズが今年5月、シンガポール初となるカジノ運営免許を取得。AP通信などによると、同社は36億ドル(約4100億円)を投じ、09年に大規模なコンベンションセンターとホテルを備えるビジネスマン向けカジノ施設を金融街の近くにオープンする。 ゲンティングのプロジェクトが決まったことで、同国には家族向け、ビジネスマン向けの2つのカジノ施設がそろうことになった。このため、今後10年はカジノの運営免許を追加交付しないとみられている。 シンガポール政府は、05年に開園した香港のディズニーランドや、カジノで中国本土から観光客を呼び寄せるマカオに対抗して05年にカジノの解禁を決めた。ブルームバーグによると、2件のカジノ開発プロジェクトをばねに、15年までに観光収入を3倍の300億シンガポールドル(約2兆3000億円)に拡大させる計画。