世界で20億以上の人々が信仰しているキリスト教。その聖典である聖書は、大きく「旧約聖書」と「新約聖書」に分かれています。 旧約聖書には、現在の中東で暮らしていたイスラエルの民の歴史や、神とイスラエルの民が交わした約束事などが書かれています。旧約聖書はユダヤ教の聖典として成立し、キリスト教でも聖典とされました。旧約聖書とは一冊の書物ではなく、複数の書物で構成されています。
宗教や宗派によって数や分類は異なりますが、共通で基本とされているのは39書。その大部分はヘブライ語で書かれています。現在の形にまとめられたのは紀元1世紀頃ですが、最も古い部分は紀元前1500年頃に成立したと考えられています。 一方、新約聖書には、イエスの生涯とその教えや、イエスの弟子たちの伝道活動などが書かれています。新約聖書は、紀元1世紀の後半にギリシア語で書かれ、2〜3世紀にまとめられたと考えられています。現在27書で構成されていますが、これは4世紀末に開かれた公会議(キリスト教の聖職者による最高会議)で正式に決定されました。 ちなみに、旧約聖書も新約聖書もその一部はイスラム教で「啓典」とされ、信仰に影響を与えています。イスラム教では教祖ムハンマドを最後の預言者(神の言葉を預かる者)と考えますが、旧約聖書に出てくるアブラハムや新約聖書に出てくるイエスも、ムハンマド以前の預言者の一人として考えるのです。 性格が大きく異なる「旧約」の神と「新約」の神 「旧約」「新約」の「約」とは、神と人間とが結んだ契約という意味です。「旧約」「新約」という呼び方は、キリスト教徒から見た場合のものです。 キリスト教徒は、イエスが救世主として神から使わされ、人類の罪をあがなうために処刑されることで、神と「新しい契約」を結んだと考えました。そして、それ以前の神との契約を「古い契約」と呼ぶようになったのです。 現在では、キリスト教と同じく旧約聖書を聖典とするユダヤ教徒に配慮して、旧約聖書を「ヘブライ語聖書」、新約聖書を「ギリシア語聖書」と呼ぶこともあります。 旧約とは、唯一神ヤハウェとイスラエルの民が結んだ契約のことです。 イスラエルの民が神に忠誠を誓い、約束を守れば、神はイスラエルの民に祝福と恩恵を与えるというものです。しかし、神の意志に背くようなことがあれば、恐ろしい裁きが下されます。大洪水を起こして生き物を滅亡させたり、街に火の雨を降らせて滅ぼしたり、40年もの間砂漠を放浪させたり・・・・・・旧約の神は、厳格で恐ろしい神なのです。 一方、新約の神は旧約の神とはずいぶん性格を異にします。 神と人間とが結ぶ契約は、人間がイエスを神の子と信じるだけで、神から愛とゆるしを与えられるとされました。神と契約を結べるのも、イスラエルの民に限らず、イエスを信じる人すべてになりました。世界中にキリスト教が広まった理由は、そこにあるのかもしれません。