SIMロック解除、米著作権局が認める

　　
　消費者にとっては、ロック解除がもっと一般的になれば、これは朗報だろう。ロックの解除された携帯電話を購入すれば、キャリアから新しい携帯電話を割引価格で購入する際にたいてい必要となるサービス契約の延長を避けられる（ロックされた携帯電話には、特定のキャリアに端末をロックするソフトが組み込まれている。ロックを外す方法は、6けたのキーを入力するといった簡単なものもあるし、組み込まれたソフトを別のバージョンに置き換えなければならないこともある）。
　
　
　今回の決定をめぐって、既に訴訟も起こされている。米最大の都度払いワイヤレスサービス会社Tracfone Wirelessは12月5日に、この決定を覆すことを求め、フロリダの連邦地裁で著作権局を訴えた。
　
　今後はもっと大規模な小売業者もこの事業に参入するかもしれない。
　
　著作権局の決定は、消費者のために携帯電話のロックを解除することを携帯キャリアに義務付けてはいないが、一部キャリアは既に要望に応じてロック解除を行っている。T-Mobileは顧客が90日間のサービス契約をした場合にロックを解除する。Cingular Wirelessは、契約条件を満たせば、顧客の端末のロックを解除するとしている。
　
　
　米国の携帯キャリアが端末をロックしている主な理由は、加入者にサービス契約（通常1〜2年）を最後まで続けてもらいたいからだとアナリストは言う。キャリアは携帯電話の販売奨励金を出すことが多いため、それを確実に回収できるようにしたいのだ。
　
　
　著作権局の決定は、いわゆるGSM技術を採用した携帯電話に最も影響するだろう。この種の携帯電話をGSMキャリアから別のGSMキャリアに切り替えるのはずっと簡単だからだ。これら端末のロックを解除した後は、SIMカードと呼ばれる特殊なチップを端末から取り出し、端末を他社のネットワークに対応させる別のカードに交換するだけでいい。
　
　
　またSIMカードには消費者の住所録などの記録が格納されており、端末のロックを解除すれば、このカードを別のGSM端末へ移すことができる。GSM技術を採用しているキャリアには、AT&T傘下のCingular Wireless、Deutsche Telekom傘下のT-Mobile USAなどがある。
　
　
　米国外を旅行する消費者は、すぐにこの決定を利用するかもしれない。彼らの多くはGSM携帯電話を持ち歩いている。同技術は世界の大半の国で使われているからだ。ロックされていないGSM携帯を持って別の国に行けば、地元のSIMカードを差し込むだけで地域のキャリアに切り替えられる。その結果、旅行者は自国の携帯キャリアよりもずっと安い地元キャリアの料金で利用できる。
　
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