カナダへ落ちた隕石(いんせき)に、46億年前の太陽系創成期にできた有機物が含まれていたことを、米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターの中村圭子研究員らが突き止めた。 中村さんは「有機物自ら球状を形作ることが生命誕生への第一歩ともいわれており、今回の“玉”はその条件に当てはまる」と話している。
「地球生命の原材料となった有機物は、太古に降り注いだ隕石によって供給された」との説を支える発見で、1日付の米科学誌サイエンスに掲載された。 中村さんらは、2000年1月にカナダ西部の湖に落下、地球上の物質が混入されないよう保管されていた、隕石の薄片を電子顕微鏡で観察。 内部が空洞になった有機物の“玉”(平均直径5000分の1ミリ)を多数発見した。玉には通常より中性子が1個多くて重い原子(同位体)が、窒素で1・2〜2倍、水素で2・5〜9倍も、地球上の有機物より多い割合でそれぞれ含まれていた。 この割合から、氷点下260度という、現在の太陽系内ではあり得ない極低温で生成されたものと判明、「原始太陽系の外縁部か、その元になった分子雲でできた」と結論づけた。