アサギマダラ、過去最長2246キロの移動が確認された。世界的に珍しい“渡りチョウ”の「アサギマダラ」が、今年8月から3か月間で、山形―沖縄・与那国島の2246キロ・メートル(直線距離)を飛んで移動していたことがわかった。
マダラチョウ科のアサギマダラは、羽を広げた状態で体長12〜13センチ。薄い茶色に水色の斑点のある羽を持つ。夏は国内の高地に生息し、秋に南へと1000〜2000キロも移動するが、移動範囲やその理由ははっきりせず、専門家らが「渡り」の調査を続けている。 京都学園大非常勤講師の藤井恒さんらの研究グループが確認した。これまでの記録を約100キロ・メートル上回ったという。 藤井さんらは8月、山形・蔵王スキー場でアサギマダラ約1700匹を採取。それぞれの羽に油性ペンで印を付けて放したところ、そのうち同月26日に放したメス1匹が今月20日、与那国島・久部良岳の山頂で見つかった。 2002年には、福島・北塩原村―沖縄・黒島の2140キロ・メートルが記録されたが、藤井さんは「今回の記録は一個体の移動距離としては過去最長。これで東北以北で暮らす個体も沖縄以南へ渡っている可能性が出てきた」と話している。 ◆渡りチョウ=米国のオオカバマダラも知られているが、日本など東アジアに生息するのはアサギマダラのみ。このチョウは、春から夏にかけて本州の高地や北海道南部で暮らし、秋に南日本や台湾方面へ渡る。時には1日に数百キロ・メートルも移動するという。