カーボンナノチューブの発見者である同研究所の飯島澄男ナノカーボン研究センター長は、次世代の新素材として注目される超微細の炭素素材「カーボンナノチューブ」を従来の20倍の高密度で作ることに、産業技術総合研究所ナノカーボン研究センター(茨城県つくば市)が成功した。
99・9%以上の炭素純度を持ち、加工もしやすくなり、寿命の長い高性能電池の電極などへの応用が期待される。26日の英科学誌「ネイチャー・マテリアルズ」(電子版)に発表する。 研究チームは、アルコールの滴が蒸発する際の表面張力に着目。 カーボンナノチューブにアルコールをかけて、乾燥させると、この表面張力などにより、凝集して、高密度、高純度の集合体になることを確認した。従来の技術では高密度にするとナノチューブの構造が壊れるなどの欠陥があったが、今回の手法では強度や電気的特性などを損なうことなく、針、薄膜など様々な形状に加工することができる。 製造コストも従来の数百分の1に抑えられ、安定した大量生産も可能という。研究チームはこの新素材を「カーボンナノチューブ固体」と名付け、実用化に向け普及を目指す。 「今回の技術により、新しい展開が開け具体的な応用に弾みが付く」と話している。