高橋尚子(34)=ファイテン=と土佐礼子(30)=三井住友海上=が激突する東京国際女子マラソンは19日昼12時10分に号砲スタートを切る。今大会連覇を狙う高橋は18日、最後の調整を行い、レース前恒例の“吉兆トラブル”も経験し、来夏の大阪世界選手権の出場権獲得に挑む。
今年は無事に最終調整を終えた。高橋は午前と午後の2回、皇居周辺で約1時間ずつジョギング。右脚3カ所の肉離れを負っていた昨年と違い、表情も明るい。1週間前の11日深夜に“吉兆”を感じさせるトラブルがあったからだ。 チームQのミーティングを終え、千葉市緑区の自宅に入ろうとしたところ、玄関の鍵穴に差し込んだ鍵が根本から折れるハプニング。裏口のチェーンを切断しようとしたが無理で、防犯装置のアラームが近所中に鳴り響く。警備会社が駆けつけるまで、寒空の深夜に2時間も閉め出された。 「もうすぐレースがあるのに何してるんだろうって焦ったけど、しかたないから夜中にジョギングしちゃいました」 これまでも、階段から転がり落ちて背中に大アザをつくった1週間後に98年バンコク・アジア大会で日本最高記録をマーク、サバの食あたりで緊急入院した直後の00年名古屋国際で優勝してシドニー五輪キップ獲得、謎の毒生物に右足を刺されて点滴を受けるハメになった後の01年ベルリンで世界最高記録樹立…と、大会前にアクシデントがあると好走してきた。 「つつがなくレースを迎えられます。楽しみですね」 この日、皇居を走っている際には、かつて師事した小出義雄・佐倉AC代表(67)と偶然出会い、激励されるサプライズもあった。アテネ五輪5位入賞の土佐礼子の参戦で久しぶりに強敵と戦う高橋だが、「東京→大阪世界陸上→北京五輪」という最短ルートでの五輪行きに照準を合わせ、スタートラインにつく。 土佐が優勝 雨中の過酷なレースを制し、世界陸上へ前進。高橋は失速し3位 東京国際女子マラソンは19日、東京・国立競技場発着で行われ、土佐礼子(三井住友海上)が2時間26分15秒で優勝を飾った。2位は尾崎朱美(資生堂)。連覇を狙った高橋尚子(ファイテン)は終盤に失速し、3位に終わった。 レースは、雨と寒さという悪いコンディションの中、序盤からハイペースの展開。折り返し付近で、戦前の予想どおり土佐と高橋の一騎打ちとなった。しかし、31キロすぎに土佐がスパートをかけると高橋は付いていくことができず、その後は独走。高橋は39キロ付近で尾崎にもかわされ、3位に落ちた。 土佐は2時間26分を切っての日本人トップという、世界選手権の代表内定条件はクリアできなかったが、高橋を破っての、うれしい初優勝となった。