深夜にダンスを楽しめることで人気を集める東京・六本木のクラブのうち、計3店が風俗営業適正化法に違反して終夜営業を繰り返していたとして、都公安委員会から最大約3か月間の営業停止処分を受けていたことが18日わかった。 しかし、2階のフロアにも、3階のクラブと同じようなダンスフロアが設けられ、看板も全く同一。同店のホームページには、「3階は耐震補強工事のため営業を休止しています」との記載があるだけで、営業停止処分を受けたことには全く触れていなかった。
六本木のクラブを巡っては、「ディスコ特区」を申請するなど営業時間の規制緩和を求める動きがある一方、一般の飲食店を装って早朝まで営業する店も目立ち、地元から苦情が寄せられている。警視庁はさらに9店の処分を検討するよう公安委に求めているが、新たな手口で終夜営業を図る店も出現し、“イタチごっこ”はしばらく続きそうだ。 風営法では、ダンスフロアを持つクラブやディスコの営業を、午前0時から日の出まで禁止する一方、六本木や新宿などの繁華街では、都条例で特例として午前1時までの営業が認められている。 しかし、ほとんどのクラブでは朝までの違法な終夜営業が常態化し、文教地区と隣接する地元の住民からは「泥酔して店を出る若者たちを、小学生の子どもがよけるようにして登校する状況を、なぜ放置するのか」などという苦情や批判が寄せられていた。 このため警視庁では今年7月、六本木にある計15店のクラブへの一斉立ち入り調査を実施。同法の時間外営業違反で15店全店を指導したうえ、8月にも再度立ち入りに踏み切り、なおも時間外営業をしていた12店について、同法に基づき処分の検討を都公安委に求めた。都公安委ではこれを受け、うち3店について今月17日から約2〜3か月間の営業停止処分にしたほか、残る9店についても、経営者の聴聞を順次行ったうえで、同様の処分が可能かどうか審議している。 同庁では8月の立ち入り後、同地区のクラブの大半は、営業時間内に閉店するようになったとしているが、その一方で、脱法行為とも言える新たな営業形態を取る店も出てきた。 営業停止処分を受けた3店のうち、六本木通りに近い雑居ビルの3階にある人気クラブでは、17日夜も、階下の2階のフロアで営業が続けられていた。2階のフロアはクラブではなく、飲食店として届け出ており、同法の営業時間規制の対象から外れているためだ。 クラブに集まってくる若者たちの多くは、警視庁の厳しい姿勢について、「これまで放置していたものを急に取り締まるのでは納得いかない」「六本木からクラブをなくせということか」などと不満を口にした。 六本木では、一部のクラブが昨年11月、「パリやロンドンのように終夜営業が認められれば、観光客が増え活性化につながる」として、早朝までの営業を認める構造改革特区を申請したが、「犯罪の温床になりかねない」と警察側が難色を示したことなどから認定が見送られた経緯がある。