東京都は、東京砂漠とも言われるヒートアイランド東京に緑を増やす作戦を実行しようとしています。来年度から10年かけて、都内に約2000校ある公立小中学校のすべてで校庭を芝生にすることで、まず、皇居の2倍に相当する面積の緑地を都内に造り出す計画です。 この効果は、砂漠化都心部のヒートアイランド現象を抑制するとともに、子供たちが屋外で遊ぶ機会を増やし、運動能力の向上にもつなげたい考えとしていますが、ゲーム&携帯メール三昧の子供が遊ぶ理由になるのでしょうか?
東京では1960年代まで、小中学校の校庭はほとんどが土で、その後、都心部を中心にアスファルト化が進んだ。最近は、細かく砕いた石灰岩を敷き詰めて水はけを良くした「ダスト舗装」や、全天候型テニスコートなどで見られる「ゴムチップ舗装」が主流になっており、現在、全面的に芝生化されている小中学校は44校にとどまっている。 都は来年度、まず20億円をかけて70校を芝生化する方針。これまでの実績から2000校分を単純に試算すると、10年間で緑化される面積は280ヘクタールになるという。総事業費としては約570億円が見込まれ、維持費は区市町村が負担する予定だ。 芝生化のための費用は「ヒートアイランド対策費」として支出する。都心部の気温は過去100年間で約3度上昇しており、地球全体の5倍のスピードでヒートアイランド化が進んでいる。真夏の炎天下ではアスファルトや土の校庭の表面温度が50度近くまで上昇するのに対し、芝生は30度台で、都環境局は「気温上昇を抑えれば、クーラーなどの使用も減り、二酸化炭素(CO2)の削減効果も生まれる」と期待をかける。 さらに、校庭が芝生になれば、子供たちが積極的に屋外で遊ぶようになり、運動能力の低下が懸念される現代っ子の体力増進につながるという計算も。トンボやバッタなどの昆虫も集まるため、環境教育に生かすことも可能と、都では“一石何鳥”もの効果を当て込んでいる。 その一方、芝生は激しい使い方をすれば簡単に枯れてしまううえ、頻繁な散水や芝刈りも必要。整備費は都と区市町村で折半するが、優れた維持管理計画を立てた学校には都が全額補助する仕組みをつくり、学校とPTA、地域住民などの連携を促す方針だ。 校庭の芝生化をめぐって2002年、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」が全国的に増やす方針を提言している。しかし、高校を含めた全国の公立学校のうち、校庭を芝生化したのは、昨年5月現在で全体の3・5%の1291校にとどまっている。