南極大陸の厚い氷の下に、これまでわかっていた地域や数をはるかに超える湖が存在することが明らかになった。日本のドームふじ基地近くにもみつかった。大陸が氷に覆われたのは3000万年前。その後、大気に触れることなく封じ込められた環境に未知の微生物の発見も期待される。
南極大陸を覆う氷は平均で約2000メートルもの厚さがある。その底部で大陸岩盤に接する所は、地熱でとけて湖を造っていることが70年代にわかった。ロシアの基地の下にある巨大なボストーク湖をはじめ、米ロなどの内陸基地周辺には点在するが、日本の基地周辺ではみつかっていなかった。 米英ロの研究者による解析で、多数の氷床下湖の存在がわかり、その中にドームふじ基地から約60キロの地点もあった。48次隊はほか数地点とともにレーダーで観測する。 南極大陸では、氷を掘り出して地球の気候変動を探る試みが各国で進められている。氷床下湖の水が掘削で汚染されないか、研究者は気をもむ。 ロシアのボストーク基地では湖の存在に気づき、98年に掘削を中断した。だが最近「汚染せずに湖水は採取できる」と再開したという。 一方「氷床下の水は網目状につながる」との説もあり、太古の微生物に注目する国立極地研究所の伊村智・助教授(生物)は「数百万年も、外の世界と隔絶された貴重な宝を失うのは一瞬。慎重に」と話す。