サン・マイクロシステムズは、自社のプログラミング言語「Java(ジャバ)」の技術情報を無償公開すると発表した。1995年にJavaを開発した狙いの1つは、マイクロソフトの影響力に対抗することだった。同社のOS「ウィンドウズ」だけで動作するソフトが多いなか、Javaソフトはさまざまな環境で動作した。
マイクロソフトは、Javaの互換性を損ねるような戦略を取ったことついて、2004年、サンに20億ドル近くを支払って和解合意した。 サンは今回、Javaソフトのオープンソース化に際し、リナックスや多くのオープンソース型ソフトが採用している「一般公衆利用許諾契約書(GPL)」を採用することとした。ここでは、オープンソースのソフトを改良した場合、改良後のソフトもオープンソースとしなければならないと定められている。 サンはここ数カ月、ジョナサン・シュワルツ氏を社長からCEOに昇格させる、経費節減のために従業員を削減する、新型サーバーを発売するなど、業績改善を目指してさまざまな方策をとっている。同社は、Javaソフトのオープンソース化によってソフトウエア部門の売上高が伸びるとの見方を示したが、どの程度伸びる見通しなのかについては言及していない。 同言語は携帯電話やパソコン向けソフト開発などで幅広く使われている。世界中の開発者が同技術を自由に利用できる環境を整えて市場を拡大、周辺ソフトや保守サービスなど事業を強化して収益拡大を目指す。 第一弾として、携帯電話などの応用ソフト開発に使われる技術などを公開。続いて大企業用システム向けなども公開する。これまでもサンはJava技術を外部に提供していたが、見返りにライセンス料を受け取っていた。 しかしSunは、いわゆる「クラスパスの例外」を適用している。これはライセンスの追加事項で、GPLがカバーするソフトウェアに対してSunが制限をつけることを許可するものだ。これにより、Sunのオープンソース版Javaを使ってアプリケーションを作るプログラマーは、自作アプリケーションを公開する際に別のライセンスも選択できる。 「Java SEのケースでは、われわれはクラスパスの例外で(GPLを)拡張させている。そのため、現在(Javaの)ライブラリやバーチャルマシンでアプリケーションの開発を進めていたり、出荷したりしている人は、Javaのライセンスに影響を受けることはない」(Sun:Green氏) さらに、Javaの開発元であるSunは、商用ライセンスの提供も継続するとの考えを示している。こうした「二重ライセンス」構造により、他のソフトウェアベンダーに法的な保証と正式な標準認証を与えることになる。 サンは1995年にJavaを開発。同プログラミング言語を使って書かれたソフトは基本ソフト(OS)や超小型演算処理装置(MPU)の種類を問わず幅広い機器で利用できるのが特徴で、これまでに38億以上の機器で利用されているという。