JAXAは、小型端末による衛星直接通信を可能とする技術試験衛星「きく8号」を12月16日に打ち上げると発表した。テニスコートサイズの格納型メッシュアンテナを2面搭載する。
JAXA(宇宙航空研究機構)は10月25日、技術試験衛星「きく8号」(ETS-VIII)を12月16日に打ち上げると発表した。携帯電話程度の小型端末を使い、地上施設を介さずに音声や画像を通信する衛星直接通信や、高精度の測位技術の確立を目標とする。 きく8号は、高度3万6000キロの静止軌道を利用する重さ約2.8トンの大型衛星。六角形のモジュールを組み合わせ、鏡面精度を高めた展開トラス構造の大型メッシュアンテナを2つ搭載する。アンテナは大きさが19×17メートルとテニスコートに匹敵するサイズで、日本列島全域で小型端末や移動体端末との直接通信を実現するという。 きく8号のキャッチフレーズは「大きなアンテナがひらく未来の扉、届ける安心―大型衛星を使った新しい携帯通信の世界へ―」で、シンボルキャラクターとして「きくはちぞう」を登用している。 また、周回軌道を利用するGPS衛星と静止軌道にあるきく8号を組み合わせ、高精度な衛星測位システムの技術実証を目指すほか、今後の大型静止軌道衛星開発に対応できる衛星バス(姿勢制御や電源、熱制御系の総称)技術の開発も行う。 打ち上げは、種子島宇宙センターから「H-IIA」ロケットの11号機を使用して行われる。11号機は「H-IIA204」型と呼ばれる形態で、個体ロケットブースター(SRB-A)を従来の2本から4本に増設。静止トランスファー軌道(GTO)へのペイロードを5.8トンに向上したもので、ロケット先端のフェアリングも大型となっている。 はちぞうブログ(JAXA)