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November 1, 2006 space
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ソニー「PLAYSTATION 3」死角はあるか?

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いよいよ10月16日から一部ネット通販での予約が始まった、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCEI)の「PLAYSTATION 3」(以下、PS3)。その性能の高さで他機種を圧倒し、さらに東京ゲームショウ2006でのエントリモデル値下げと全モデルのHDMI端子付属発表で一気に注目を集めた。
 

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 一方ネット界隈では、SCEIの二転三転する発表、小出しにされる情報やローンチタイトルの不足などが不評を呼んでおり、いい意味でも悪い意味でも「問題児」である。「フルハイビジョン対応」「高性能なCellプロセッサ搭載」など、多くの話題のPS3だが。。。
 
 
 HDD標準搭載で事実上ネットワーク接続は必須?
 
 今回発売されるのは廉価なエントリモデルと、それより1万円ほど高いハイスペックモデルの2タイプ。そのいずれにもハードディスクが搭載される(20Gバイトと60Gバイト)。このハードディスクは、主にネットワーク経由でコンテンツやプログラム改善パッチをダウンロードし、保存する用途に使われる。
 
 元々SCEIは、PlayStation 2(以下、PS2)の時代に「e-Distribution」という構想を提唱していた。PS2にハードディスクとイーサネット端子をつけ、ネットワークを介してゲームや動画をはじめとしたさまざまなコンテンツを提供するという試みだ。ただ、これはPS2の姉妹機であるハードディスク搭載DVDレコーダー「PSX」で対応できなかったこと、外付けハードディスクが発売当初ネット専売だったことなどが災いし、成功には至らなかった。今回、PS3でHDDを標準搭載してきたのは、今度こそこの構想を実現させるためだと言える。PS3を楽しむにはネットワーク接続は必須と考えてよいだろう。
 
 
 見落としがちな点もあげておこう。すでに多くの家庭にブロードバンド環境があると思うが、単に「線が来ている」だけでは十分ではない。たとえばリビングにPS3を設置するのであれば、リビングまでネット接続環境を持ってこないといけないからだ。ADSLモデムやルータが置いてある部屋と、ハイビジョンテレビが設置されているリビングが離れているというケースは多いのではないだろうか。こうした状況で威力を発揮するのは無線LANだ。PS3の上位モデルには無線LANが搭載されているので、状況に応じて検討するといいだろう。
 
 
 次世代ディスクはBDかHD DVDか?
 
 PS3で大きく取り上げられる特徴の1つに、Blu-rayディスクドライブの搭載がある。PS3では、ゲームソフトがBDで提供されるだけでなく、BDに収録された映画などのハイビジョンビデオコンテンツ(BD-Video)も再生可能だ。一方、Xbox 360陣営は11月22日に外付けのHD DVDドライブを発売し、HD DVD-Videoを鑑賞可能になる。ハイビジョン映像とサラウンド音声によるホームシアター体験が可能な2つの次世代ディスクだが、2つの規格に分裂して提供されることになってしまった。
 
 
 といっても、今回はビデオデッキのVHS対ベータの時のようなことにはなりそうもない。多くの映像ソフトはBDとHD DVDの双方に提供される見通しである。また、既報のとおり、BD+HD DVD+DVDの3層を1枚で提供する技術や、1つのピックアップでBDとHD DVDの双方を読み出せる技術も実現しつつある。一時的には混乱する可能性はあるが、徐々にソフト、ハードともに「どちらでも再生できる」という環境に収束すると予想されるわけだ。現状では、この次世代ディスク戦争は横目に眺めておき、PS3はあくまでゲーム機としての用途を中心に考えるほうが見通しが良くなるのではないだろうか。
 
 
 ゲームの供給メディアとしてBDを見た場合、気になるのはDVDの5倍強の容量を何に活かすか、という点だ。現在のゲームにおいて、最も容量を必要とするのは「プレレンダームービー」だが、PS3では、本体のグラフィック性能が飛躍的に向上したこともあり、あらかじめ他のコンピュータで計算し映像化したプレレンダームービーを使う必要もなくなっている。実際、同程度のグラフィック性能を持つとされるXbox 360では、ゲームソフトはDVDのみで提供され、別売のHD DVDドライブを使ったタイトルは登場しない見込みである。PS3のソフト開発では、この大容量を何に振り向けるかが1つの課題となるだろう。
 
 

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 PS1、PS2のゲームも動作、PSPとの連携も
 
 「PLAYSTATION 3」と直球の名前を付けてきたことからも想像できるように、基本的にPS3でもPS1やPS2のゲームは動作する。ただし、従来ソフトを遊ぶには2つほど制限がある。1つは、PS3には従来のPlayStationについていたメモリカードを接続するインターフェースが用意されていないということだ。PS3では、基本的にセーブデータはハードディスクに保存される。ちなみに今までの本体で使っていたセーブデータは、別売のメモリカードアダプターでハードディスクにコピー可能だ(一部のコピー不可データを除く)。もう1つの違いは振動機能。PS3標準付属のコントローラ「SIXAXIS」は、従来の入力に加えて6軸の傾きを伝えることが可能となったが、それにともなってか振動機能が削除されている。従来機の「DUALSHOCK」をはじめとした振動コントローラを接続することも不可能だ。今後サードパーティからPS3対応の振動コントローラが発売されることに期待したい。
 
 
 PS3ではPlayStation Portable(以下、PSP)との連携も発表されている。Wi-Fi、またはUSB接続を経由してPSPにコンテンツを提供したり、PSPを液晶つきのPS3コントローラにしたりする構想が発表されている。また、PSP上でPS1のリッジレーサーを動作させるデモも公開され、PS3経由でPSPにPS1のソフトを配信する可能性もでてきた。あとは、いかに魅力的な連動コンテンツを提供できるかにかかってくるだろう。
 
 
 ローンチには不満が残るも、大作が控える
 
 前述のとおり、PS3では本体発売と同時に発売される、いわゆるローンチタイトルに不満が残る。本来は今春発売予定だったものを延期した上にソフトが揃っていないという結果になったのは、PS3の性能の高さを活かせるようなタイトルの開発が、開発者にとって非常に困難な仕事であることが一因だろう。ただ、そうした中でも「リッジレーサー7」や「GENJI -神威奏乱-」など、注目のタイトルは揃っている。特にPS3がターゲットとする層に響くのは、バンダイナムコゲームズの「機動戦士ガンダム ターゲット イン サイト」ではないだろうか。次世代ゲーム機で実現した、限りなくリアルな一年戦争を体験できるタイトル。PS3の発表当初から注目の高かったタイトルである。
 
 
 また、東京ゲームショウ2006では多くのタイトルが展示されていた。その中には「メタルギアソリッド4」「ファイナルファンタジーXIII」などビッグタイトルも控えており、今後に大きく期待できる。
 
 
 HDMI搭載フルハイビジョンテレビは必須ではない
 
 映像性能にも触れておこう。BD搭載とともに話題となるのは、HDMI ver.1.3端子搭載によるフルスペックハイビジョン対応。先述したとおり、東京ゲームショウ2006でHDMI端子の全モデル標準搭載というサプライズ発表があった。ただ、この点が過大に報道されるせいか、フルスペックハイビジョンテレビを用意しないと、PS3を十分に楽しめないと考えてしまう向きもいるかもしれない。もちろん理想をいえばHDMIが最高だが、実際にHDMI端子を必須とする要素は「7.1チャンネルデジタルサラウンドステレオ」だけである。
 
 
 一時期懸念されたBD-Video、HD DVD-Videoのアナログ出力規制問題も2011年まで棚上げとなり、D端子やコンポーネント出力でもハイビジョン映像を楽しめることになった。日本では、ハイビジョン放送が当分D3品質(1080i)で提供される見込みであることも考えると、無理にD5品質に対応したテレビを用意する必要はない。ただ、次世代のゲームを楽しむという観点であれば、できればD4品質(720p)に対応したテレビを準備したい。
 
 
 現在主流の液晶テレビやプラズマテレビは、仕組み上1080iのようなインターレース映像を苦手とする。たまに映像に横縞が走ることがあるのは、これが原因だ。720pのようなプログレッシブ映像ではこうした問題は原理的に起こらない。多くのゲームソフトでは、720pでも十分高品質な次世代体験ができるだろう。
 
 
 PS3ではWEGAなどのソニー製テレビに端子が搭載されていたPlayStationを1つのケーブルでつなげるAVマルチケーブルも利用可能だ。アナログ出力ではあるがハイビジョン映像を楽しめる機種もあるだろう。PSXでは削られていた要素であり、うれしい復活となった。
 
 
 可能性は無限大?
 
 PS陣営は基本的にローンチ時にオーバースペックなハードを用意し、普及するに従ってこなれたソフトが出てくる、というパターンが多い。PSPで行われた、ファームウェアのバージョンアップによる機能向上などが期待できる。
 
 
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