制作費10億円で目標視聴率2日間計45%。この桁外れの数字を前提に俳優渡哲也(64)が、マグロの一本釣りに人生をかけた男を演じる。石原プロとテレビ朝日が共同制作する07年新春ドラマ「マグロ」(1月4、5日放送予定)青森・大間町を舞台にマグロの一本釣りに命をかける漁師と家族の姿を描く物語で制作費はナント破格の10億円。このほど、同地でクライマックスシーンの撮影が始まり、200キロ級の大物捕獲を目指し、渡と巨大マグロの“ガチンコバトル”がスタートした。。 最近主演した4作すべてで視聴率20%以上をマークした渡が、週1本程度しか釣れない漁を体験。CGを使わない、本物ならではの完成度を目指している。
荒れ狂う津軽海峡を舞台に、渡が200キロ級の巨大マグロを釣り上げる−。バラバラになった家族の思いが1つになる感動のラストシーンだ。渡は「ドラマにリアリティーを持たせるために、自分も(マグロと)戦いたい」と、生きた巨大マグロを自らの手で釣り上げることを直訴した。 渡哲也が本州最北端の町、大間でマグロと格闘し始めた。約20分間のラストシーンを撮るため、一心不乱に、約200キロの獲物を狙う。実際の漁では船に引き上げやすいよう、電気ショックをかけることも多いが「電気ショックで弱らせたりはしません。腕1本でマグロを釣る男の話ですから」。立っていることさえ難しい漁船でテグスを持ち、海を見つめる。 ドラマは、石原プロ小林正彦専務が、05年1月にテレ朝で放送されたドキュメンタリー「マグロに賭けた男たち」にヒントを得て企画された。渡も「こういう男を演じてみたかった。日本人が愛着を持つマグロと男と家族のきずなという組み合わせがいい」と賛同。今春からテレ朝と準備をすすめてきた。 渡らの意気込みを表すように、すべてが破格のドラマとなった。予算は10億円。通常のスペシャルドラマの3・5倍で、邦画の2倍規模に上る。スタッフ130人、車両22台、マグロ船も10隻が用意された。 当然、マグロの一本釣りには徹底的にこだわるつもりだ。「マグロを釣り上げるシーンが絶対に必要。CGは使わず、お茶の間に本物の映像をお届けしたい」と小林専務は力説する。 渡だけでの一本釣りは不可能なため、地元大間漁業組合に所属するマグロ漁師80人から全面協力を得る。そして釣り上げたマグロをめがけ、渡がもりを打って撮影する。大間での釣果は、1人平均、週1匹程度。理想の映像が撮れるチャンスは少ないが「釣ったマグロは買い上げます。1本につき500万〜1000万円。でも100キロ以下ならダメ。1次ロケ最終日の10月4日までに、このシーンを撮り終えたい」(小林専務)と妥協するつもりはない。 テレビ史上に残る大作だけに、目標視聴率の設定も「2日間で45%超え」と高い。さまざまな重圧を抱える渡だが、船に乗り込む前に「海を見ると気持ちが和むね。淡路島育ちだからかな」と言った。64歳の視聴率男は気負わず、ベストを尽くすつもりだ。 天海祐希、松坂慶子、高橋克典共演陣も豪華 このほど同地の漁業活性化センターで行われた制作発表には、長女役の天海祐希(39)、渡を尊敬する漁師役の高橋克典(41)らも出席。天海は「(渡と)親子役で残念。次回は恋人役を演じたい」と笑顔。高橋は「方言にも注目してほしい。石原プロの現場は“熱量”がすごい」と興奮していた。
クライマックスシーンで渡とともにマグロに挑む二男役、渡邉邦門(22)は「こんな大役は初めて。一生懸命演じたい」と気合を入れていた。また、渡の妻役に松坂慶子(54)のほか、石原軍団から、舘ひろし(56)、神田正輝(55)、徳重聡(28)が出演。さらに西田敏行(58)、内田有紀(30)、小林桂樹(82)ら豪華共演陣が顔を揃える。 渡哲也26日待った「マグロ一本釣り」 渡哲也(64)が主演するテレビ朝日の新春スペシャルドラマ「マグロ」(来年1月4、5日放送予定)の青森・大間ロケでこのほど、クライマックスシーンの撮影に欠かせないマグロの一本釣りに成功した。計26日間、待ち続けた“大物”。機器に頼らない伝統技で釣り上げた渡は「自分の手でマグロを上げた充実感は今も体に残っています」とコメントした。
大間ロケは9月21日にスタートし、渡は10月5日まで滞在。27日に再び大間入りしマグロが釣れたのは11月6日。計26日間、待ち続けた末に上がったのは、体長約2メートル、重さ約220キロの本マグロだった。
リアリティーへのこだわりだった。200キロ級が釣れるのは週数本だが「CGは使わず、本物を釣り上げるシーンを撮影したい」。釣れなければドラマの完成が危ぶまれる賭け。渡だけでの一本釣りは不可能なため、地元漁師に協力を要請。大型マグロが掛かった時はそれを買い取り渡が釣り上げると呼び掛け、連絡を待った。
11月5日までに、渡がマグロを釣り上げる最終シーン以外はすべて撮了。「クランクアップはマグロ待ち状態」になり、最終シーンに出演する渡と渡邉邦門(22)だけが大間に残った。5日には推定180キロのマグロがかかったが、強烈な抵抗に遭い、引き揚げやすくする電気ショックを投入。仮死状態のマグロを釣り上げたが、満足できず再挑戦を決めた。
翌6日は“背水の陣”で大間の全船団60隻を投入。1本引き揚げに失敗した後、かかった念願の220キロのマグロ。慎重に糸を引き揚げた渡がモリを刺し、えらにロープを差し込んで船にくくりつけた。釣り上げられたマグロは、築地市場へ出荷された。
大仕事をやり遂げた渡は「自分の手でマグロを上げた充実感は、今も体に強く残っています。無事にクランクアップできて本当に良かったと思っています」と満足感と安堵(ど)感を漂わせた。
ドラマは渡が、昨年1月にテレ朝で放送されたドキュメンタリー番組「マグロに賭けた男たち」にヒントを得て企画。マグロの一本釣りにこだわる漁師とその家族の物語。 渡が釣ったマグロ築地で110万円落札! テレビ朝日系新春ドラマスペシャル「マグロ」(1月4、5日2夜連続放送)に主演する俳優渡哲也(64)が、6日の青森・大間町ロケで一本釣りしたマグロが9日早朝、東京・築地市場でセリにかけられた。 この日市場に出た約350匹の中で、渡の釣ったマグロは、内臓を取り除いてもトップクラスの約200キロ。渡がモリで突いた跡が残るマグロは熱視線を浴び、1キロ当たり5500円の110万円で落札された。 渡はロケ開始の9月から好機を待ち、腕1本で180キロ以上のマグロを釣る伝統漁法にこだわった。だが、築地のプロの目は釣った人間のことまで勘案しない。執念で釣り上げた全長2メートル、腹回り1・2メートルの特大マグロも出荷された350匹の中の1匹。セリを控えた仲卸業者は、緊迫した雰囲気で淡々と大きさ質を見比べる。長年の経験を頼りに腹部にのる脂を見て、尾の切断部を手で触って肉質を入念に確かめていた。 午前5時30分。合図の鐘が鳴り、セリが始まった。業者が目星を付けたマグロに次々と入札し、セリは約5分で終了。渡のマグロは予想より値が伸びなかった。 今回のマグロを扱った卸売業「大都魚類」の担当者は「腹部の厚みが足りなかったかな。本来なら、もう少し太っていてもいいんだけど」。一方、競り落とした仲卸業者は「これがゴーゴー?(1キロ5500円)安かったね〜」と質と比較して購入価格が安かったことを同業者にうらやましがられていた。 落札されたマグロは市場内の仲卸店舗に運ばれ、小売業者などに販売。渡が大奮闘の末に釣り上げたマグロは、ドラマ放送前に飲食店や店頭などに並ぶ。