沖縄本島北部「やんばる」地域に生息するヤンバルクイナの推定生息数が717羽まで激減していることが、山階鳥類研究所が昨年実施した調査で分かった。全体数調査は1220羽と推定された01年以来4年ぶりで、絶滅の縁に追い込まれている状況が浮かび上がった。
ヤンバルクイナはノグチゲラとともに沖縄本島北部の山地、「ヤンバルの森」にしか生息していない貴重な鳥です。発見は1981年と比較的最近で、当時この大型新種の発見は、ほとんど飛べないという特異な生態もあいまって、大きな話題となりました。正式な発見以前にも1970年代頃から、謎の鳥としていくつかの目撃例があり、地元では昔から知られていて、「ヤマドゥイ」と呼ばれていました。 体は約30cm、顔と喉は黒色、眼の後ろにのびる白帯がとても目立ちます。頭上から背中にかけては暗いオリーブ褐色、胸から腹にかけては黒色と白色の横縞模様です。くちばしは太く、あざやかな赤色、先がやや白味がかります。脚は太長く、あざやかな赤色をしています。オスとメスの体の模様・色彩はほとんど同じです。 ヤンバルクイナは公式に「発見」された翌年の一九八二年に、国の天然記念物に指定されました。 保護の状況 略称をIUCNと呼ばれる国際自然保護連合が編纂した『絶滅の危機にある動物一覧』―通称『国際版レッドデータブック』または『国際版レッドリスト』―では、ヤンバルクイナは「絶滅の危機が増大している」危急種とされています。 日本の環境庁が編纂した『日本の絶滅のおそれのある野生生物』―通称『日本版レッドデータブック』または『日本版レッドリスト』―では、「絶滅の危機に瀕している」絶滅危惧種[ぜつめつきぐしゅ]に挙げられています。 このように保護の網がかけられてはいるものの、ヤンバルクイナの保護の状況が万全かというと決してそうではなく、むしろ危機的な状況は日に日に強まっていると言わざるを得ません。
ヤンバルクイナ 【英】Okinawa rail クイナ科の鳥類。日本固有種。分布は「やんばる」と呼ばれる沖縄本島北部地域の国頭村、大宜味村、東村に限られる。平地や山地の常緑広葉樹の原生林や、常緑樹とリュウキュウマツが混交した沢沿いなどに生息する。地上の昆虫、カタツムリ、キノボリトカゲなどを食べると考えられているが、詳しい生態はわかっていない。