沖縄県与那国島沖の水深1380メートルの海底で、液化した二酸化炭素(CO2)が閉じこめられた「プール」を、海洋研究開発機構のグループが有人潜水調査船「しんかい6500」を使って見つけた。 CO2を分解する微生物が生息することも確かめた。地球温暖化対策としてCO2の海底への封じ込めが検討されているが、その技術開発に参考となる成果だ。近く米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。
この海底プールは約300度の熱水が海底下から噴き出す場所のそばにあり、面積約200平方メートルで深さ約20センチ。液化CO2と微量の液化メタンで満たされており、CO2が海水と反応してできた厚さ約10センチの固体硫黄の層が「ふた」のように覆っていた。 稲垣史生・同機構サブリーダーによると、地下のマグマに含まれるCO2とメタンが熱水とともにわきだし、冷やされて液化したらしい。CO2は水深2400メートルより深くでは液化して海底へ沈むため、地球温暖化対策の一案として深海底へ封じ込める技術が研究されているが、実際の海でこうしたプールが見つかったのは初めてという。 含まれる遺伝子を調べたところ、メタンや硫黄をエネルギー源とし、CO2を分解する微生物がいるとわかった。稲垣さんは「海底への封じ込めでは、微生物の栄養となるメタンなどをまぜて沈めれば、CO2が効果的に処理される可能性がある」と話している。