海外でも使用できるように勝手に改造したボーダフォンの携帯電話を販売し、同社の商標を侵害したとして、警視庁組織犯罪対策一課は、商標法と不正競争防止法違反の疑いで、東京都新宿区の携帯電話販売会社「L&K」社長で中国籍の陸錫齢容疑者(56)ら4人を逮捕した。その後の調べでこの携帯電話は滋賀県警に摘発された中国人窃盗団から盗品の携帯電話を仕入れていたことが分かった。
調べでは、陸容疑者らは昨年12月、「SIM」と呼ばれる回線情報などが記録されたICチップを認識する電話機内部のコンピュータープログラムを改造したボーダフォンの携帯電話を販売し、同社の商標権を侵害するなどした疑い。 日本国内の携帯電話は、ほかの会社のSIMや海外で販売されているプリペイド式のSIMを入れた場合、作動しないようにロックされている。 陸容疑者らはロックを解除して、定価の約2倍で販売。海外で最新機種を購入契約するよりも安く購入できたり、国内で使用している携帯を海外で使えるなどのメリットが人気を呼び、昨年7月からの約1年間で、約1億円を売り上げていたという。 同課は著作権侵害の疑いもあるとみて、改造の手口などを詳しく調べている。調べに対し、陸容疑者は「ロックを掛けている業者側が悪い」などと、容疑を否認しているという。 [SIMロック解除]中国人窃盗団から盗品の携帯電話仕入れ 契約先と異なる電話会社の回線使用を制限する「SIMロック」を不正に解除した携帯電話を販売したとして、商標法違反容疑で警視庁に逮捕された携帯電話販売会社社長、陸錫齢容疑者(56)=中国籍=が、滋賀県警に摘発された中国人窃盗団から盗品の携帯電話を仕入れていたことが分かった。 これまでは、不特定多数の個人所有者から、解約された携帯電話を入手するルートが判明していた。警視庁組織犯罪対策1課は、大量の携帯電話を安価で仕入れるため、陸容疑者が窃盗組織と結びついたとみて、全国の携帯電話ショップの盗難被害についても実態解明を進めている。 窃盗団は、住所不定、無職、崔超被告(29)ら中国籍の男4人。今年2〜3月、滋賀県内などの「ボーダフォンショップ」から携帯電話計約80台を盗んだとして、同県警に窃盗容疑で逮捕された。「20都県、約40カ所のボーダフォンショップから、約1000台(7000万円相当)を盗んだ。転売が目的だった」と供述している。 その後の警視庁の調べで、崔被告のグループが昨年12月、盗品の携帯電話数十台を東京都新宿区の陸容疑者の店に持ち込んでいたことが判明した。神奈川県内の2カ所のボーダフォンショップから盗まれた商品だった。 陸容疑者らは先月、インターネットを通じて買い集めた携帯電話のSIMロックを解除する不正改造をして中国に輸出、上海の支店で販売したとして逮捕された。SIMロックは、携帯各社が、自社の回線でしか通話できないよう出荷段階で携帯電話に取り込んでいる処理。このプログラムを解除することで、海外などで地元会社の回線を使った通話も可能になる。 SIMロック解除業者は全国に20以上あるとされる。 同課は、窃盗組織と結びついた業者が他にもあるとみて、調べている。 「機種が多い」と人気のボーダフォンが中心 デザインや機能にすぐれた日本メーカーの携帯電話は、中国で若者に人気だという。しかし正規の輸入品は7万円前後と価格が高い。陸錫齢容疑者は、盗品などの携帯電話を上海の支店に輸出し、5万5000円前後で売りさばいていた。「機種が多い」と人気のボーダフォンが中心だった。 携帯電話には、電話番号などを記録するICチップ「SIMカード」が使われている。カードを差し替えれば別の会社の回線で通話ができ、海外でも現地のカードを買えば国内料金で通話が可能になる。これに対し、「SIMロック」は、こうした機能を制限し、他社のカードに差し替えると通話ができなくなる仕組みだ。日本ではほとんどの携帯電話にSIMロックがかけられている。陸容疑者は、日本で仕入れた携帯電話を中国で売りさばくため、SIMロックを解除していた。 SIMロックは、回線使用料を長期的に確保するため、携帯各社が取り入れている。日本では携帯電話が比較的安いが、これも自社の利用者を増やして回線使用料で収益を上げるのが狙いだ。 ボーダフォンでは、1回だけの通話で契約を取り消すなど不自然な解約が昨年夏から急増。同社の調査や警視庁の捜査から、解約した携帯電話を買いあさる陸容疑者が浮上した。 そして今回、契約前の商品を盗む窃盗団と陸容疑者の結び付きも明らかになった。同社広報部は「不自然な解約による損失は毎月数億円に上る。ロック解除を難しくする改良を検討している」と話している。 携帯電話「SIMロック解除」総務省が年内にキャリアへ指針 SIMロック解除 総務省モバイルビジネス研究会 SIMロック解除、米著作権局が認める ノキアSIMロックフリースマートフォン「E60」と「E61」を投入 SIMロック解除 不正改造ボーダフォン端末販売で逮捕 ノキア SIMロックフリーの「Nokia 6630」日本語版を発売 香港でGSM携帯『Sony Ericsson Z200』を購入