経済産業省は、原油高の一因となっているアジア諸国の石油需要急増を抑えようと、石炭を加工してガソリンなど液体燃料に変える「石炭液化」の技術協力に乗り出す。 来年度から、インドネシアで実験用製造設備の建設を始め、中国では日本の技術で商業用製造設備の設計に入る見通しだ。こうした施設に他のアジア諸国からも技術者を受け入れ、アジア全体での普及を目指す考えだ。
石炭液化は、石炭に水素を混ぜ、高温・高圧にすることでガソリンや灯油に加工する仕組み。 原油輸出国だったインドネシアは、国内需要の急増で04年から輸入国に転じた。ただ、石炭の埋蔵量は豊富で、来年度は経産省所管の独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と神戸製鋼所が共同で同国内に実験設備を建設し、現地の運転技術者を育成。12年までに商用設備を建て、原油換算で年間50万トンの液化燃料を製造する計画だ。経産省は来年度予算の概算要求に設備建設費など6億円を盛り込む。 中国では現地の電力会社と石炭会社がNEDOの設備ですでに実験中で、来年度にも商用設備の設計を始める。 石炭液化は、日本が石油危機後の80年代に代替燃料として開発したが、コストが原油換算で1バレル25〜30ドルと当時は採算が合わず実用化されなかった。 だが、1バレル=70ドル超の原油高騰で、豊富な石炭を抱えるアジア諸国では有力な代替燃料として期待が高まっている。