ノーベル財団は18日、今年のノーベル賞の発表日程を明らかにした。10月2日に医学生理学賞▽3日に物理学賞▽4日に化学賞▽9日に経済学賞▽13日に平和賞。医学生理学賞は日本時間の午後6時半ごろ、物理、化学賞は同6時45分ごろ、経済学賞は同8時ごろ、平和賞は同6時ごろ発表する見込み。
ノーベル平和賞候補に「U2」のボノ氏ら ノーベル財団は18日、今年のノーベル平和賞受賞者の発表を10月13日に行うことを明らかにした。 今年の候補は、インドネシア政府と独立派ゲリラ「自由アチェ運動(GAM)」の和平交渉を仲介したフィンランドのアハティサーリ前大統領のほか、慈善活動に力を入れるアイルランド出身の歌手ボブ・ゲルドフ氏やロックグループ「U2」のボノ氏が有力視されている。 医学・生理学賞は10月2日、物理学賞は3日、化学賞は4日、経済学賞は9日に発表される。文学賞は5日または12日になる。 ユドヨノ氏が“1番人気”、賭け屋のノーベル平和賞予想 オーストラリアのブックメーカー(賭け屋)が11日までに、10月発表のノーベル平和賞受賞者を予想する賭けのオッズ(賭け率)を公表し、インドネシア・アチェ州の独立紛争で和平を進めるユドヨノ同国大統領がオッズ3倍で1位となった。ロイター通信が報じた。
このブックメーカーは昨年の平和賞で、公式発表直前に受賞者の国際原子力機関(IAEA)とエルバラダイ事務局長を1位とした“実績”があるという。
2位は同じくアチェ州の和平を仲介したアハティサーリ前フィンランド大統領の4倍。3位以下には、中国の元女性政治犯レビヤ・カディールさんらが10倍で続く。オッズは今後、変動もあり得る。ブッシュ米大統領とブレア英首相のオッズは、それぞれ500倍。
今年のノーベル平和賞は191の個人・組織が推薦されており、オスロでの発表に向け極秘に選考が行われている。
ノーベル医学生理学賞>米の2氏に…「RNA干渉」発見 スウェーデンのカロリンスカ研究所は2日、06年のノーベル医学生理学賞をアンドルー・ファイアー・米スタンフォード大医学部教授(47)と、クレイグ・メロー・米マサチューセッツ大教授(45)の2氏に授与すると発表した。 両氏は生物の遺伝情報を伝える役のRNA(リボ核酸)が対になった「二重鎖RNA」で、遺伝子の発現が阻害される「RNA干渉」という現象を線虫で発見し、98年に発表した。この現象は人間にも共通しており、二重鎖RNAを人工的に作ることで新薬開発などに道を開いたことが評価された。 この分野では、国内第一人者とされる東京大教授の論文不正疑惑が発覚、同教授が一部の論文を取り下げるなど、研究競争が過熱している。 授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金計1000万クローナ(約1億6000万円)が贈られる。 両氏は、ひも状のRNA2本がはしごのように対構造になった二重鎖RNAを線虫の細胞に入れた。すると、鎖がほどけて1本になり、対応する遺伝子の発現が阻害され、たんぱく質が合成されないことを発見した。 生体内でも、こうした二重鎖RNAが作られ、有害な遺伝子の発現が抑えられている場合があることも発見された。この機能を応用し、網膜の加齢黄斑変性症やC型肝炎、エイズ、がん、ホルモン異常などの治療薬の研究が進んでいる。
ビッグバン説裏付けの米2氏にノーベル物理学賞 スウェーデン王立科学アカデミーは3日、今年のノーベル物理学賞を米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターの上級天体物理学者ジョン・マザー氏(60)と米カリフォルニア大バークリー校の物理学教授ジョージ・スムート氏(61)に授与すると発表した。 両氏はNASAが1989年に打ち上げた天文衛星「COBE(コービー)」の主任研究者。COBEでのマイクロ波「宇宙背景放射」の観測により、宇宙がビッグバンで誕生したとの説を裏付けるデータを得たことなどが評価された。 授賞式は賞を創設したアルフレッド・ノーベルの命日に当たる12月10日にストックホルムで行われる。賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億6000万円)は両氏で折半する。
ノーベル化学賞 遺伝情報の転写解析、コーンバーグ教授に スウェーデン王立科学アカデミーは4日、06年のノーベル化学賞を、ロジャー・コーンバーグ・米スタンフォード大医学部教授(59)に授与すると発表した。受賞理由は「真核生物の転写の分子的基礎に関する研究」。遺伝子の情報に基づいてたんぱく質が作られる際、どのようにして遺伝情報が転写されるのかを分子レベルで解析した功績が評価された。 授賞式は12月10日、ストックホルムで行われ、賞金1000万クローナ(約1億6000万円)が贈られる。コーンバーグ教授は、59年にDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の合成に関する研究で、ノーベル医学生理学賞を受賞したアーサー・コーンバーグ博士(88)の長男。ノーベル財団によると、親子での受賞は過去に6組あり、今回が7組目となる。 細胞核内のDNAに刻み込まれている遺伝情報は、メッセンジャーRNAが写し取って、生存に必要なたんぱく質を作るため核外に運び出す。同教授は、この遺伝情報の転写をつかさどる酵素「RNAポリメラーゼ」の結晶を酵母の細胞を使って作り、01年、エックス線回析による実験で三次元構造を詳しく解明した。この構造は人にも共通しており、異常があるとがんや心臓病など多くの病気につながるとされ、新薬の開発などへの応用が期待される。 親子受賞には、1903年に物理学賞を受賞したキュリー夫妻と、35年に夫と共同で化学賞を受賞した娘のイレーヌ・キュリーらがいる。
スウェーデン王立科学アカデミーは4日、06年のノーベル化学賞を、ロジャー・コーンバーグ・米スタンフォード大医学部教授(59)に授与すると発表した。受賞理由は「真核生物の転写の分子的基礎に関する研究」。遺伝子の情報に基づいてたんぱく質が作られる際、どのようにして遺伝情報が転写されるのかを分子レベルで解析した功績が評価された。 授賞式は12月10日、ストックホルムで行われ、賞金1000万クローナ(約1億6000万円)が贈られる。コーンバーグ教授は、59年にDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の合成に関する研究で、ノーベル医学生理学賞を受賞したアーサー・コーンバーグ博士(88)の長男。ノーベル財団によると、親子での受賞は過去に6組あり、今回が7組目となる。 細胞核内のDNAに刻み込まれている遺伝情報は、メッセンジャーRNAが写し取って、生存に必要なたんぱく質を作るため核外に運び出す。同教授は、この遺伝情報の転写をつかさどる酵素「RNAポリメラーゼ」の結晶を酵母の細胞を使って作り、01年、エックス線回析による実験で三次元構造を詳しく解明した。この構造は人にも共通しており、異常があるとがんや心臓病など多くの病気につながるとされ、新薬の開発などへの応用が期待される。 親子受賞には、1903年に物理学賞を受賞したキュリー夫妻と、35年に夫と共同で化学賞を受賞した娘のイレーヌ・キュリーらがいる。
ノーベル経済学賞に米コロンビア大・フェルプス教授 スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2006年のノーベル経済学賞を米コロンビア大学のエドムンド・フェルプス教授(73)に授与すると発表した。 授賞理由について同アカデミーは、マクロ経済におけるインフレ率と失業率との関係について論理的な分析を行った功績としている。フェルプス教授は1933年米国生まれで、米イエール大大学院修了。 授賞式は12月10日にスウェーデンのストックホルムで行われ、賞金1千万スウェーデン・クローナ(約1億5千万円)が贈られる。
スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2006年のノーベル経済学賞を米コロンビア大学のエドムンド・フェルプス教授(73)に授与すると発表した。
授賞理由について同アカデミーは、マクロ経済におけるインフレ率と失業率との関係について論理的な分析を行った功績としている。フェルプス教授は1933年米国生まれで、米イエール大大学院修了。
授賞式は12月10日にスウェーデンのストックホルムで行われ、賞金1千万スウェーデン・クローナ(約1億5千万円)が贈られる。
村上春樹氏著作に早くもプレミア…ノーベル文学賞12日発表 ノーベル文学賞が12日午後1時(日本時間午後8時)、スウェーデンで発表される。村上春樹氏(57)の日本人3人目となる同賞受賞に期待が高まっている。 メディア露出がほぼ皆無の同氏の動向については、大手出版社の担当編集者も「分からない」と口をつぐむ“トップシークレット状態”。だが大手書籍店では「全店舗で村上さんの著作を一か所に集めてフェアを行う」(紀伊国屋)など日本人3人目の受賞に向け準備を進めている。 また神田の古本街では著作がすでにプレミア物に。ケヤキ書店によると「『中国行きのスロウ・ボート』の限定本が5万程度の相場から10万円くらいに跳ね上がっている」という。「受賞が決まったら初版本などは値段が上がるかも知れない」と話した。なお村上氏はサイン会もめったにしないため、「直筆サイン本の値段は計り知れないものになる」という。
ノーベル文学賞が12日午後1時(日本時間午後8時)、スウェーデンで発表される。村上春樹氏(57)の日本人3人目となる同賞受賞に期待が高まっている。 メディア露出がほぼ皆無の同氏の動向については、大手出版社の担当編集者も「分からない」と口をつぐむ“トップシークレット状態”。だが大手書籍店では「全店舗で村上さんの著作を一か所に集めてフェアを行う」(紀伊国屋)など日本人3人目の受賞に向け準備を進めている。
また神田の古本街では著作がすでにプレミア物に。ケヤキ書店によると「『中国行きのスロウ・ボート』の限定本が5万程度の相場から10万円くらいに跳ね上がっている」という。「受賞が決まったら初版本などは値段が上がるかも知れない」と話した。なお村上氏はサイン会もめったにしないため、「直筆サイン本の値段は計り知れないものになる」という。
ノーベル文学賞にトルコの作家オルハン・パムク氏 スウェーデン・アカデミーは12日、今年のノーベル文学賞をトルコの作家、オルハン・パムク氏(54)に授与すると発表した。授賞理由は「イスタンブールにおける異なる文化の衝突と融合の憂うつさを探求し、新たな象徴を示した」としている。賞金は1000万クローナ(約1億6200万円)。授賞式は12月10日にストックホルムで開く。 パムク氏は1952年生まれで、イスタンブール在住。82年に「ジュヴデット氏と息子たち」で文壇デビュー。代表作の「わたしの名は『紅』」はイスラム原理主義の暴力と独断を糾弾、日本を含め二十数カ国語に翻訳された。最新作の「雪」は近代化に揺れるトルコ東部の町を舞台にイスラム原理主義と世俗主義の衝突を描いた。 パムク氏は2005年、スイス紙に「トルコはアルメニア人100万人、クルド人3万人を殺した」と発言、国家侮辱罪でいったん起訴された。
パムク氏は1952年生まれで、イスタンブール在住。82年に「ジュヴデット氏と息子たち」で文壇デビュー。代表作の「わたしの名は『紅』」はイスラム原理主義の暴力と独断を糾弾、日本を含め二十数カ国語に翻訳された。最新作の「雪」は近代化に揺れるトルコ東部の町を舞台にイスラム原理主義と世俗主義の衝突を描いた。
パムク氏は2005年、スイス紙に「トルコはアルメニア人100万人、クルド人3万人を殺した」と発言、国家侮辱罪でいったん起訴された。
「世界の貧困人口を2015年までに半減」 2006年度ノーベル平和賞受賞が決まったバングラデシュの貧困層向け無担保融資機関「グラミン銀行」総裁のムハマド・ユヌス氏は13日、賞金の1000万スウェーデン・クローナ(約1億6200万円)の使用方法について、仏食品大手ダノン社とグラミン銀行の合弁で、貧困層向けの低価格栄養補助食品を開発する事業に出資する考えを明らかにした。 授賞式は12月10日にオスロで行われる。 ユヌス氏は、「貧しい人々が支払える金額で栄養価の高いものを食べられるよう、ダノン社との合弁会社に(自分の賞金を)用いる。合弁会社はもうすぐ設立される」と語った。 ユヌス氏はこのほか、賞金からは眼科病院や飲料水改善事業への寄付も行うと述べた。 『グラミン銀行』(英語) http://www.grameen-info.org/ ノルウェーのノーベル賞委員会は13日、06年のノーベル平和賞を、バングラデシュの農村で女性たちに無担保融資を続けてきたグラミン銀行と、同銀行を設立したムハマド・ユヌス総裁(66)に贈ると発表した。 同委員会は「永続する平和は人口の大半が貧困から抜け出す方途を見いだせない限り達成されない」とユヌス総裁と同銀行の活動を高く評価。授賞理由として「人類の半分を占める女性が男性と同等の立場で社会参加できない限り十分な経済発展と政治的民主化は実現しない」と指摘した。 アジアからの平和賞受賞は00年の金大中(キムデジュン)前韓国大統領以来。イスラム圏の受賞者は03年のイラン人活動家シリン・エバディさん以来となる。授賞式は12月10日にオスロで行われ、賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億6500万円)はグラミン銀行とユヌス総裁が折半する。 ユヌス総裁は米国で計量経済学を学んだ経済学者だったが、バングラデシュの大飢饉(ききん)(74年)をきっかけに本国での貧困層救済を実践する道に身を投じた。83年に貧しい農村の女性たちを対象に無担保で少額の金を貸し付けるグラミン銀行(グラミンはバングラデシュでは村、農村の意味)を設立。働く意欲や技術があっても手元に資金のない多くの女性たちの社会参加を助けた。 【ムハマド・ユヌスさん】 1940年バングラデシュ第2の都市チッタゴン生まれ。62年チッタゴン大学を卒業し、経済学講師。 65年に渡米し、経済学博士に。69〜72年中央テネシー州立大学経済学部助教授。72年バングラデシュ独立後に帰国し、政府経済局計画委員会副委員長、チッタゴン大学経済学部長。83年にグラミン銀行を創設した。 【グラミン銀行】 バングラデシュ政府認可の正式の金融機関。これまで660万人(97%が女性)に総額50億ドルを貸し付け、98%が返済されている。 農民が5人程度のグループを作って融資を申請。融資の規則や銀行の考え方などの教育を受け、試験をパスすれば融資を受けられる。 用途は家畜の購入や井戸の掘削など。96年にはグラミン銀行の支援で設立された携帯電話会社「グラミン・フォン」が事業を開始。電話が普及していない農村で小作農の女性に携帯電話を販売し、女性たちはこの携帯電話を使って村人を対象にしたビジネスを展開した。
1940年バングラデシュ第2の都市チッタゴン生まれ。62年チッタゴン大学を卒業し、経済学講師。 65年に渡米し、経済学博士に。69〜72年中央テネシー州立大学経済学部助教授。72年バングラデシュ独立後に帰国し、政府経済局計画委員会副委員長、チッタゴン大学経済学部長。83年にグラミン銀行を創設した。 【グラミン銀行】
バングラデシュ政府認可の正式の金融機関。これまで660万人(97%が女性)に総額50億ドルを貸し付け、98%が返済されている。 農民が5人程度のグループを作って融資を申請。融資の規則や銀行の考え方などの教育を受け、試験をパスすれば融資を受けられる。 用途は家畜の購入や井戸の掘削など。96年にはグラミン銀行の支援で設立された携帯電話会社「グラミン・フォン」が事業を開始。電話が普及していない農村で小作農の女性に携帯電話を販売し、女性たちはこの携帯電話を使って村人を対象にしたビジネスを展開した。