漫画誌「KISS」(講談社)での連載開始当初から、その題材と原作者・二ノ宮知子さんの徹底的な取材に裏打ちされたリアリティー、魅力的なキャラクター設定が熱狂的ファンを獲得し、同漫画の影響でクラシックに目覚めたという若者が続出した「のだめ」。
この超人気作のドラマ化をゲットしたのはフジ。しかも、ラブストーリー中心の題材が多い月9枠で、“奇人”をヒロインに据えた爆笑コメディーに挑戦する。
タイトルの「のだめ」は上野扮する桃ヶ丘音大ピアノ科に在籍する主人公・野田恵のあだ名。この「のだめ」がくせ者で、音楽を一度聴けばその通りに弾けるという天才的な一面を持ちながら、楽譜を読むのが苦手、風呂嫌い、掃除嫌い、友人の弁当を盗み食う…という破天荒キャラ。
月9のヒロインでは異例の奇人ぶりだが、同局の若松央樹プロデューサーは、「かつてない斬新なキャラクター同士のラブストーリーに加え、クラシックと真摯に向き合う更なる奇想天外なキャラクターたちのぶつかりあい、それが青春ギャグコメディーとして見事なハーモニーを奏でている」と全体としての魅力をあげた。
映画「スウィングガールズ」でバンドに青春を賭ける女子高生を演じ、その瑞々しい演技が高い評価を受けた上野は、2度目の音楽もの。「原作がとても面白いので、ドラマも負けないように最後までパワフルにハートフルに頑張りたい」とコメントを寄せた。
「のだめ」が一目ぼれし、のだめの影響を受けて変わっていく音楽一家に生まれたエリート音大生、千秋役の玉木は、クラシックには縁がなかったため、現在、ピアノ、バイオリン、指揮を猛特訓中。「ぼく自身は千秋のような天才とはかけ離れていますが、全身全霊を込めて千秋という役柄を楽しんで演じきりたい」と撮影を心待ちにしているという。
ナイスバディーをお茶の間で!岩佐真悠子がフジ・月9初出演
“いわまゆ”初月9−。人気アイドル、岩佐真悠子(19)が10月16日スタートのフジテレビ系「のだめカンタービレ」(月曜後9・0)に出演することが1日、分かった。
上野樹里(20)演じる主人公、のだめ(野田恵)の親友、石川怜奈役で、ピアノ科に通う音大生という清楚な役どころに初挑戦する。コギャル役など、これまで今どきの女の子を演じることが多かっただけに、衣装合わせで清楚なドレスを着た岩佐を見た男性スタッフからは「新鮮!!」という声が上がったほど。
岩佐は「いつも通り気張らずやっていきたい」と気負いはなく、「原作がすごく好きな作品だったので、すごく楽しみです」と撮入を心待ちにしている。
また、今月末に発売される「2007年版カレンダー」(ハゴロモ)では一転、1メートル55、B83W58H86のナイスバディーを大胆ビキニで見せつけ、小悪魔的な微笑で悩殺している。
畑野ひろ子女優復帰…フジ系「のだめカンタービレ」
2004年に芸能界を引退し、昨年モデル復帰した畑野ひろ子(30)が、10月16日スタートのフジテレビ系ドラマ「のだめカンタービレ」(月曜・後9時)で、約4年半ぶりに本格的に女優復帰することが4日、分かった。
人気コミックの初ドラマ化となる「のだめ−」は、音大でピアノを学ぶ破天荒なヒロイン・野田恵(上野樹里)と指揮者を目指す2枚目・千秋真一(玉木宏)の異色ラブコメディー。畑野は、千秋の才能に目をつける音楽誌編集者・河野けえ子を演じる。
典型的なキャリアウーマンで、洗練された美しさを持つ女性という役どころ。畑野は「今まで演じたことのない、自分とはかけ離れた“濃いキャラ?”になりそうなので、今から楽しみです。河野けえ子という女性を思い切って演じたい」。
若松央樹プロデューサーは「キャストが若者中心になる中、ドラマに花を添える大人の女性の雰囲気が欲しかった」と期待を寄せる。
畑野は04年6月に俳優・柏原崇(29)との結婚を機に引退。昨年から芸名を「畑野浩子」から「畑野ひろ子」に変えてモデルに復帰し、今年2月離婚。ドラマにはゲストという形で出演していたが、連ドラのレギュラーは復帰後、初めて。02年1月期のフジ系「初体験」以来4年半ぶりとなる。
「のだめカンタービレ」が約1200万部ヒットしたワケ
クラシック音楽ファンの間で大きな話題となっていたコミック「のだめカンタービレ」が、フジテレビ系のヒットドラマ枠である毎週月曜日の午後9時からの時間帯(通称「月9」)で10月16日からスタートする。来年からは同局深夜枠でアニメ化放送も予定されており、クラシック音楽を本格的に扱ったコミックとしては快挙とも言えるほど、注目を集めているのだ。
シビアなクラシックファンも魅了
「のだめカンタービレ」は、音楽大学で学ぶ野田恵(のだ・めぐみ)こと「のだめ」と、指揮者志望で女性に大人気の千秋真一が中心となって展開する音楽ドラマ。彼らを取り巻く個性的で愉快な仲間たちや教授陣が加わっていろいろな騒動を巻き起こしながら、音楽家として成長していくというストーリーだ。
物語ののだめは「Kiss」という女性ターゲットのコミック雑誌で2001年に連載がスタートし、この11月には連載100回を迎える長寿漫画。既にコミックは15巻が発売され、約1200万部の売り上げを記録している。
クラシック音楽や音楽大学という大方の読者に馴染みの薄い世界を、コメディータッチで描いたことで、クラシック音楽を知らない読者層にも親近感を与えたのが、大ヒットした要因だろう。のだめは“お堅い”クラシック音楽業界でも2年ほど前から話題になり始め、テレビドラマ化や映画化を待ち望む声も出ていた中で、ようやく「月9」という形で希望が結実した格好だ。
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のだめカンタービレ
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岩佐真悠子
ストーリー
桃ヶ丘音楽大学キャンパス。超イケメンエリートの千秋(玉木宏)は、教師の叱責に逆ギレしてコンクールへの出場を取り消され、来なくていいと言われてしまう。元彼女の多賀谷彩子(上原美佐)とバーに行くが、グチグチと煮え切らない千秋に業を煮やした彩子は、千秋を残して席を立ってしまう。
一方、のだめ(上野樹里)が帰宅すると、マンションの廊下で誰かが寝ている。一瞬驚くのだめだったが、すぐに千秋だと気づく。翌朝、目覚めた千秋の目の前に広がるのはゴミの山。そしてグランドピアノに向かうジャージ姿の女。「ここはどこ?」。頭上を飛び回るハエの大群を背景に「昨日のこと覚えてますか〜」と不気味に微笑むのだめの姿に、思わず部屋から飛び出す千秋。何とそこは千秋が住む部屋の隣だった。
逆ギレ事件で、エリートコースから一転、落ちこぼれ専門教官(西村雅彦)の指導を、のだめと一緒に受けることになってしまった千秋。親しげに接してくるのだめにウンザリする千秋だが、隣室からの悪臭に耐えられず、のだめの部屋に押しかけ掃除をしてしまう。「部屋がキレイだと音が全然違いますね〜」と、相変わらずデタラメなピアノを弾き始めるのだめ。だが、そこには自由な発想力と確かな才能があった……。
のだめカンタービレ:主人公“野田恵”は実在する?
のだめカンタービレ1巻の表紙(講談社) 天才的なピアニストでありながら、ゴミためのような部屋に暮らす音大生「のだめ」こと野田恵を主人公にした漫画「のだめカンタービレ」。女性漫画誌「Kiss」(講談社)で連載され、じわじわと人気を呼んで、10月からフジテレビ系の月曜日午後9時のドラマ枠「月9」でドラマ化され、一気にブレークした。上野樹里さんのコミカルな演技でお茶の間でもすっかり人気者となった“のだめ”は実在しているという……。
「のだめカンタービレ」は、著名なピアニストを父に持ち、桃ケ丘音楽大のエリート学生・千秋真一が、ピアノ科の落ちこぼれの後輩のだめと出会い、深酒をしてのだめの部屋に泊まってしまう。美しいピアノの旋律に目を覚ました千秋は、ゴミためのように散らかった部屋の中でピアノに向かうのだめを見つける。千秋は、練習嫌いののだめを指導し、その才能を開かせようと世話を焼きながら、音楽の本当の楽しさと厳しさを知り、指揮者になりたいという自分の思いに気付くという物語。
二ノ宮知子さんの原作漫画(1〜16巻)の累計発行部数は1500万部を超える大ヒットとなり、9話まで放送されたドラマも最高で19.9%(11月13日放送分関東地区、ビデオリサーチ調べ)という高視聴率を記録している。
部屋を片付けられず、「ピギャー」「ぎゃぼー」など奇声を発する“変人”のだめが誕生したのは01年。二ノ宮さんが運営するホームページの掲示板に女性ファンの一人が「こんな面白い写真を撮りました」と、散らかった部屋の中でピアノを弾いている写真を掲載した。女性は現役の音大生で「野田恵」という名前だった。
当時、新連載のアイデアを考えていた二ノ宮さんは、この写真からインスピレーションを得て、「だらしない女の子が主人公の音楽コメディー」というアイデアをまとめた。講談社の担当編集者も「クラシックとダメ女のギャップが面白い」とOKを出し、「のだめカンタービレ」の連載が始まったという。
二ノ宮さんは、音大を卒業し、福岡県でピアノ講師をしている野田さんと電話で話しながら漫画のアイデアを練るといい、のだめが「もじゃもじゃ組曲」という曲を作るというエピソードでは、野田さんが電話口でピアノを弾いて、曲のイメージを作ったという。「のだめカンタービレ」のコミックスの巻末には「Special Thanks 野田恵」と必ず入っている。
ドラマもいよいよ佳境。飛行機恐怖症でヨーロッパに留学できない千秋(玉木宏さん)が、のだめのおかげで恐怖症を克服し、竹中直人さん演じる世界的指揮者のシュトレーゼマンに留学を誘われる。千秋に付いて行きたいのだめは、ヨーロッパ留学が賞金になっているピアノコンテストに挑む……。ドラマで、千秋が仲間たちとオーケストラを結成するというエピソードに合わせ、実際にオーディションで結成された「のだめオーケストラ」も22日にコンサートを開くなど話題も尽きず、“のだめ人気”はまだまだ続きそうだ。