測定が困難と考えられてきたB中間子と呼ばれる素粒子が壊れる過程で発生するニュートリノの確認に、日米欧などの国際研究チームが世界で初めて成功した。モスクワで開催中の高エネルギー物理学国際会議で発表した。超新星爆発時のニュートリノの研究として超新星爆発とは太陽の8倍以上の質量を持つ恒星が、その一生を終える時に起こす大爆発のことです。この超新星爆発の際、太陽が45億年間に放出する全エネルギーの99%以上を、約10秒間にニュートリノとして放出します。
研究チームは、高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)の大型加速器を利用。電子と陽電子を高速で衝突させ大量のB中間子を作り出した。約4億5000万回分のB中間子の崩壊データを分析したところ、ニュートリノを発生する崩壊が17回確認された。 この現象は、物理現象の大半を説明する法則「標準理論」では、崩壊1万回中1・5回しか起きないとされている。今回の実験では、測定不可能な現象も含めて推計すると、「崩壊1万回中1・79回」という発生頻度になり、理論とほぼ一致していた。
宇宙線「ニュートリノ」を使って地球内部の様子を探る、「フィルム」は南極の氷 地球を突き抜ける宇宙線「ニュートリノ」を使って地球内部の様子を探る計画を、日米などの国際共同研究チームが進めている。いわば宇宙線による透視撮影で、約1立方キロの南極の氷が「フィルム」だ。これまで地震の揺れなどから大まかに推測するしかなかった地球の内部構造が、より詳しくわかるようになると期待されている。 ニュートリノは小柴昌俊・東京大特別栄誉教授のノーベル物理学賞に結びついた素粒子で、高エネルギーのニュートリノが宇宙のあらゆる方向からほぼ同じように宇宙線として降り注いでいる。 他の粒子とめったに反応しないため、ほとんどは地球も素通りしているが、地球の内核など密度の高い部分を通ると吸収量が増える性質がある。 東京大や米ウィスコンシン大などのチームはこの性質に着目。ニュートリノ宇宙線を南極で観測する国際共同研究「アイスキューブ」計画(一部観測開始)の中で、飛来方向によるニュートリノ量の違いから地球の内部物質による吸収量、ひいては地球の密度分布を調べることにした。 各方向からのニュートリノ量を観測するのには南極の氷床を使う。120メートル間隔で80本の縦穴を掘って、地下1.4キロから2.4キロの間に17メートルごとに60個、計4800個の検出器をつるし、ニュートリノが氷(水)をつくる原子核と反応した際に出る光を測定する。 同じ原理のニュートリノ観測施設「スーパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)の水タンク(5万トン)に比べ、約2万倍の氷(水)を含むため、極めて効率良く観測できる見込みだ。 地球内部の密度分布がわかれば、地震や火山活動で主要な役割を果たすマントルと外核の境界面の様子を知ることができるという。チームの田中宏幸・東京大地震研究所特任助教は「地球の誕生や歴史を解明する手がかりになる」としている。
他の粒子とめったに反応しないため、ほとんどは地球も素通りしているが、地球の内核など密度の高い部分を通ると吸収量が増える性質がある。
東京大や米ウィスコンシン大などのチームはこの性質に着目。ニュートリノ宇宙線を南極で観測する国際共同研究「アイスキューブ」計画(一部観測開始)の中で、飛来方向によるニュートリノ量の違いから地球の内部物質による吸収量、ひいては地球の密度分布を調べることにした。
各方向からのニュートリノ量を観測するのには南極の氷床を使う。120メートル間隔で80本の縦穴を掘って、地下1.4キロから2.4キロの間に17メートルごとに60個、計4800個の検出器をつるし、ニュートリノが氷(水)をつくる原子核と反応した際に出る光を測定する。
同じ原理のニュートリノ観測施設「スーパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)の水タンク(5万トン)に比べ、約2万倍の氷(水)を含むため、極めて効率良く観測できる見込みだ。
地球内部の密度分布がわかれば、地震や火山活動で主要な役割を果たすマントルと外核の境界面の様子を知ることができるという。チームの田中宏幸・東京大地震研究所特任助教は「地球の誕生や歴史を解明する手がかりになる」としている。