やっと本格的な夏が来た。気象庁は30日、中国、近畿、東海、北陸、関東甲信の各地方が梅雨明けしたとみられる、と発表した。平年より8〜11日遅かった。 関東などでは当初8月になるとみられていたが、同庁によると、各地に大災害をもたらした日本周辺の梅雨前線が30日になって突如消滅。通常の梅雨明けパターンと異なり、同庁にとっても「想定外」の電撃発表となったようだ。残りは東北だけとなった。
30日、関東地方などは前日までの「曇り」という予報に反し、朝から強い日差しが照りつけた。東京で最高気温30・2度をつけたほか、関東以西の各地で30度を上回る真夏日となった。気象庁は午後2時半「中国、近畿、東海、北陸、関東甲信の各地方が梅雨明けしたとみられる」と発表。関東甲信の梅雨明けは、梅雨明けが特定できなかった93年を除くと、記録が残る51年以降で5番目に遅く、51日続いた長い梅雨がやっと終わった。残るは東北のみとなった。 平年と比べると、中国、東海、関東甲信は10日、北陸は8日遅かった。昨年と比べると、いずれの地方も12日遅かった。関東地方などが30日に梅雨明けすると予想していた天気予報は、前日までほとんどなく、8月にずれこむという予想が大半。数日前までは29、30日の週末予報には「雨マーク」がついていただけに、まさに突然の発表となった。 気象庁によると、今回は「変則的な梅雨明け」という。日本の南にある太平洋高気圧が北に張り出し、梅雨前線を北に追いやるのが典型的な梅雨明けだが、今年は日本周辺にあった梅雨前線が急に消滅し、梅雨明けとなる「消滅型」パターン。予測しにくかったようだ。 同庁では「梅雨前線は30日朝まで山陰、近畿、伊豆南部あたりにかかっていたが、急に活動が弱まり、昼ごろには八丈島近辺の一部を残し、ほとんど消滅した状態になった。今後前線の活動が活発になる可能性が低く、31日も晴れ間が出そうだったため午後2時半、梅雨明けの発表となった」と説明している。 今月15日以降、豪雨で九州や長野県などで死者・行方不明者26人が出るなど、停滞した梅雨前線は大災害をもたらしたが、消えるのは突然だった。同庁では「梅雨前線の活動が、広範囲でこれほど急激に弱まるとは思っていなかった。変則的な梅雨明けのため、しばらく雲が広がりやすいが、次第に晴れの日が多くなる見込みだ」としている。