10円玉でボウフラを撃退?――銅を水に入れておくと、蚊が発生するのを防ぐ効果があることが、非鉄金属大手などでつくる日本銅センター(東京都)の実験でわかり、今年から屋外で実証実験を始めた。殺虫剤が効きにくい蚊にも有効だという。
「墓地の花入れに10円玉を入れると、蚊がわかない」という言い伝えを銅センターの担当者が知って、日本環境衛生センターに実験を委託した。 まず「ヤブ蚊」ともいわれる一般的な蚊、ヒトスジシマカの幼虫(ボウフラ)を銅製の容器で飼ったところ、すべて羽化せずに死んだ。一方、ガラス製の容器では9割が羽化して蚊になった。 次に、都会で1年中発生するチカイエカで実験した。この蚊の幼虫で殺虫剤に抵抗性があるものを、繊維のように細い銅線と一緒にガラス容器に入れたところ、やはり全滅。入れない場合は、8割が羽化した。 銅を入れた容器の水からは銅イオンが検出された。濃度は最大約1ppmで人体には無害という。 銅センターは今年6月、兵庫県西宮市の公園で実証実験を始めた。銅センターの斎藤晴夫・技術開発部長は「ボウフラが死ぬメカニズムの解明はこれから」と話す。 銅には微生物を殺す効果があることがわかっており、抗菌グッズも市販されている。抗菌力は銅のさび(緑青)が出ていない方が強いため、10円玉を庭先の水たまりなどに入れて蚊の防除を試す場合は、「きれいな硬貨がお勧め」という。