乳幼児が主にかかり、発熱やのどの痛み、結膜炎が起きる咽頭結膜熱:プール熱が大流行していることが、国立感染症研究所の全国まとめで分かった。プールを介して感染し流行することが多いので[プール熱]と呼ばれます。 日本人の免疫力が低下していると考えられること。プール熱を引き起こすのは、アデノウイルスが原因菌で、このウイルスに対する抵抗力や免疫を作る力が4歳から10歳程度の幼稚園児から小学生が感染、発症しやすい。
定点となっている全国約3000カ所の小児科から報告された患者は、1月から6月下旬までで約4万1500人と、過去10年で最多だった2004年(約2万4000人)の1・7倍以上。 実際の患者は定点報告数の10倍程度といい、感染研は「今が流行のピークで、最も感染しやすい。手洗いやうがいのほか、タオルやおもちゃといった物品の共用を避けるなど予防に努めて」と呼び掛けている。 咽頭結膜熱はアデノウイルスが原因で、せきやくしゃみ、ドアの取っ手、手すりなどを介して感染する。 [高熱] 38〜40度の高熱が4〜7日間続きます。熱はなかなか下がらず、元気もなくなります。 [ノドの痛み] ノドが赤く腫れ、4〜5日間痛みます。咳が出て、扁桃腺炎を伴うことも多くなります。 [結膜炎] 目が赤く充血し、痛み、目やにが出、目を開けているのがつらくなります。 アデノウイルスとは? インフルエンザウイルスはあまりにも有名であるため、知らない人はいませんが、このアデノウイルスはインフルエンザウイルスの次に人の体から検出される頻度が高いのです。 アデノとは扁桃腺やリンパ節を意味する言葉です。アデノウイルスはその名のとおり、扁桃腺やリンパ節の中に潜んで増えます。人に感染するアデノウイルスは現在49種類知られており、それぞれ番号がついていて、どの種類がどんな病気を起こすのか、ある程度わかっています。 アデノイドの組織から見つかったウイルスです。一つのウイルスのサイズは、直径十万分の7ミリメートル(70nm)。プール熱を引き起こすのは2型、3型が多く、まれに7型があります。7型呼吸器疾患を引き起こし、他の型より症状が重くなることが報告されています。 細菌性であれば抗菌薬による症状の改善が期待できますが、ウイルス性結膜炎に対する特効薬は現状ではありません。ウイルスは粘膜から侵入しますから、感染を避けて粘膜を清潔に保つことと、粘膜と免疫力を強化することが大切です。