「オネスティ」「ピアノ・マン」のヒット曲で知られる米人気歌手、ビリー・ジョエル(55)が今冬に11年ぶりの単独来日公演を行うことが13日、分かった。東京ドームなど5大ドームで計6公演を開催する。
ビリーは1998年に、英歌手エルトン・ジョン(59)と日本でジョイント公演を行っているが、単独では11年ぶり。1月にスタートした自身7年ぶりの世界ツアーの一環で、78年の初来日以来、10度目の日本公演。 ツアーは今回で最後とのうわさがある。ソロデビュー35周年を迎えた今年1月、自身の活動を総括するような初のボックスセット「マイ・ライブ」を発売。今ツアーではヒット曲連発の集大成的なステージを披露しており、米メディアは「これで最後か」と憶測している。 それでも、ビリーのカリスマぶりは健在。1〜3月に行われた地元NYのマジソンスクエアガーデン公演では12夜連続ソールドアウトの新記録を達成した。トータルセールス1億枚を誇る“生きる伝説”の歌声は、これが聴き納めになるのか。見逃せないライブとなりそうだ。
イギリスの“ピアノマン”がエルトン・ジョンならば、アメリカにおけるソレは間違いなく、このビリー・ジョエルだ。『ピアノマン』(73年)によって知名度を広め、『ストレンジャー』(77年)と『ニューヨーク52番街』(78年)の大ヒットによって不動の人気を獲得。これらのアルバムに収録された「素顔のままで」や「オネスティ」などは、誰もが一度は耳にしたことがある珠玉の名曲だ。 ジョエル最大の魅力は、都会のセンチメンタリズムを溶かし込んだバラード・ナンバーにある。情感がにじみ出たヴォーカル、ピアノを中心とした澄んだ音のひとつひとつ――それは慌ただしい日常生活を送る人々の心を癒し、明日への小さな糧として作用した。 しかし、「バラード・ナンバーのヒットメイカー」と呼ばれることを嫌ったジョエルは、80年にロックンロール・アルバム『グラス・ハウス』を作り上げ、83年作『イノセント・マン』ではモータウン・サウンド/R&B/オールディーズにアプローチをみせ、既存のイメージを打破。バラードに偏ったポップ・シンガーではないことを強烈にアピールしたのだった。 プロ・デビューを果たしてから20年以上のキャリアを築き上げ、その間幾度となく全米チャートの上位を飾り、グラミー賞にも輝いた。ジョエルのエヴァーグリーンな楽曲の数々は、世代を超えて今日においても愛され続けている。