鹿児島県が、ブランドとして定着した黒豚から、肉質、健康面、繁殖能力などの総合力で優れた新系統の“スーパー黒豚”の開発を目指して、この夏、10年がかりで超良質の種豚を生み出すプロジェクトに乗り出す。
鹿児島県は生産者の代表者らと、新系統の黒豚の特性について協議中だが、現段階で〈1〉肉質向上〈2〉高い繁殖力につながる丈夫な足腰――の2点を重視する方針。 肉質については、背脂肪の厚さやロースの割合をどの程度にするかなどが課題で、豚肉特有の臭みも減らすことも検討されている。 繁殖用の種豚のうち、肉質や繁殖、遺伝能力に優れた集団は、日本種豚登録協会から「系統豚」として認定される。国内で約40系統が認定を受けており、このうち、黒豚は鹿児島の「サツマ」(1983年認定)、「ニューサツマ」(91年認定)、「サツマ2001」(2001年認定)、鹿児島県提供=の3系統のみ。それぞれ特性が異なり、サツマは発育、ニューサツマは肉質、サツマ2001は繁殖力に優れている。 鹿児島県は、新系統の特性を決定したうえで、基礎豚の選定に入る。生産農家を訪ね、目指す特性に合った基礎豚約100頭を探す。ニューサツマの時は、最初に選ぶ基礎豚の一部をイギリスまで足を運んで探したが、今回は国内から探す予定。その後、交配を7世代にわたって繰り返し、集団の特性を徐々に均一化させ、2015年には、同じ特性を持つ75頭の集団を作り上げる計画だ。 県畜産課は「基礎豚の質が優れていなければ、いくら交配しても、系統豚に認定される豚は作れない。最初が肝心。県産黒豚のブランドを守るためにも、一頭一頭見て、いい豚を探したい」と話している。