キリンビールは、小さな力で簡単に開けられる「かんたん缶」を開発したと発表した。プルタブと缶ぶたとのすき間を広げ、指のかかりを良くした点が特徴。人さし指でも親指でも開けやすい。発泡酒の「淡麗グリーンラベル」で7月下旬製造品から採用する。
かんたん缶は、プルタブの先端で、指をかける部分にあるくぼみ「フィンガーデボス」を大きくした。人さし指を使う場合は狭くて深いくぼみ、親指や中指で引っ掛けたり親指の腹で押し上げる場合は広く浅いくぼみの方が具合がいい。さらに、かんたん缶は大きくなったフィンガーデボスの中にもう1段、深くなったデボスをつけた「ダブルフィンガーデボス」を採用。これによりどの指を使っても開けやすくなっている。 また、プルタブと缶ぶたのすき間に人さし指や中指の先、親指の腹などがもぐりこみやすいよう、従来の缶ぶたでは2・36ミリだったプルタブと缶ぶた表面とのすき間を、0・5ミリ広げて2・86ミリにした。 調査では試した人の82%が、かんたん缶を開けやすいと評価。既存の缶の51%より3割近く多い。指別では中指を使う場合や、親指で横から腹をもぐらせ開ける方法で、開けやすさへの評価が高まった。
人が感じる「開けやすさ」とはどういうものかを感性工学的に解析した結果、「指かかり性」、「開缶時の力のかかり具合」、「開缶時の固さ(痛さ)」の3つの要因が大きく寄与していることがわかり、それぞれ改良を検討しました。 「指かかり性」は、新たに「ダブルフィンガーデボス※1」(特許出願中)を導入することで、人さし指で開缶する場合に必要な「狭く深いくぼみ」と親指や中指で開缶する場合に必要な「広く浅いくぼみ」を同時に実現することで改善しました。「人さし指と中指」や「横開け」で開缶するお客様のためには、プルタブ下の隙間を広げることで、「指かかり性」を改善しました。さらに、タブに「しなり効果」を付与することで「開けやすい」と感じられるようになり、「開缶時の力のかかり具合」、「開缶時の固さ」も同時に改善されました。 また、新たに開缶時の力の変化を連続的に測定し、力のかかり具合を分析する機器も開発し、「開けやすさ」をデジタル化した結果、開缶時に要する力が小さくなっていることが確認されました。さらに、様々な開け方をするお客様約400人に実際に開缶性を体験していただいた結果、全体の80%以上のお客様が「かんたん缶」を開けやすいと評価し、また5通りある「缶の開け方」全てのパターンにおいて、開けやすさにおいて優位であることがわかりました。 ※1 「デボス」とは、プルタブを開けるときに、指をかけるために缶蓋上にあるへこみ。