クロアチアが日本“秒殺”宣言!「前半から攻めていく」
日本を“秒殺”するって!? クロアチア代表のズラトコ・クラニツァール監督(49)は、日本戦の戦略について前半から積極的に点を取りにいくことを宣言した。0−1惜敗のブラジル戦の守備重視から攻撃重視へ転換するという。FWイバン・クラスニッチ(26)=ブレーメン=も「大量点を奪う」と挑発するが…。
ブラジルに惜敗したものの“いい試合”をしたことで自信を取り戻したバトレニ(炎の意・クロアチアの愛称)。日本戦では“東欧のブラジル”と呼ばれる本来の攻撃力をフルに発揮し“秒殺”を狙ってくる。
「日本戦は重要な試合だ。われわれは前半から積極的に攻めていく」
クラニツァール監督がいい放った。日本と同じく勝たなければいけない第2戦。ブラジル戦はMFロナウジーニョ(バルセロナ)、FWロナウド(Rマドリード)ら強力攻撃陣を封じるため守備重視で戦った。日本のことは当初から格下とみており、前半から猛攻をしかけてくる。
午後3時キックオフ。暑さが懸念されるが、ジーコ・ジャパンはDF三都主が「暑さを考えてムダなパワーを使わないようにしたい」、DF宮本が「体力を消耗しないようにしたい」と“省エネ戦法”を掲げる。こちらはその逆だ。
「日本戦は生きるか死ぬかの戦いだ。日本戦ではゴールを決める。1点だけにとどまらず、大量点を取るのも可能だ」
FWクラスニッチはゴールラッシュ宣言で日本を挑発した。ブンデスリーガで今季30試合15得点の点取り屋。だが、ブラジル戦は精彩を欠いて途中交代。相棒のFWプルソ(レンジャーズ)がフル出場で評価を高めた。日本戦をリベンジの舞台にするつもりでいる。
「私は日本がミスを犯した最後10分間での3失点を見た。われわれは最後の10分間まで待たないけどね」と不敵なクラニツァール監督。眠りから覚めたクロアチアが日本に襲いかかる。
ジーコ大逆転策、手の内見せない撹乱戦法
勝利のためには、味方から欺け−。日本代表の運命が決まるクロアチア戦が18日(日本時間同日午後10時)にキックオフする。16日はジーコ監督のもと、全体練習が行われたが、その内容は誰の目にも低調だった。しかし、これには大きな理由が。クロアチアに手の内を見せないジーコ流・撹乱(かくらん)戦法だった。
16日、これまでは無視を決め込んできたクロアチアから、日本代表の練習を取材しようと、テレビ局3社が訪れた。ジーコジャパンのスタイルは、完全公開主義。3局は、日本の練習を別角度から念入りに撮影した。ただし、その表情は一様に、「これ、本当?」。
この日の練習だけをみれば、誰の目にも「無気力、ジーコジャパン」とはっきりわかる。
ジーコジャパンは、公式戦の前に、必ず紅白戦を行うのがスタイルだ。それだけに、負けたらほぼ、1次リーグ敗退が決定する決戦前の紅白戦には、おのずと注目が集まった。しかし、中田英寿を筆頭とする主力組はパスが通らない。おまけに、イージーミスを連発。反対に控え組は、元気はつらつ。これで大丈夫? と思えるような内容だった。
この日初めて、ジーコジャパンの練習を視察したある関係者は、「選手たちからやる気というか、熱いモノが全く伝わってこなかった。J2よりひどいのでは…」と指摘。確かにその通り。前後半25分で行われた紅白戦、ゴールはFW高原が決めた1本だけだ。
中村と中田英のコンビネーションはさっぱり、いつもよりもDFラインを下げたことで、宮本などの動きもぎこちない。これがW杯に出場するチームなのかと思うほど内容の悪さだった。
特にそれが目立ったのは中村の状態。足は動かず、パスも短いつなぎだけ。CKも質の悪いものばかりで、途中からは、MF小笠原に交代するほどだった。
練習後は、いつもと違い脱兎のごとく、逃げるようにしてバスに乗り込んだ。ただし、治りかけたはずの風邪を再びこじらせて「発熱がある。37.2度」というチームドクターの発表があった。この練習にも激励にやってきた日本サッカー協会・川淵三郎キャプテンも、「最後は男の子なんだから、選手たちはやってくれるはずだ」と祈るような表情でコメントしている。それだけ誰もが不出来の練習だった。
が、これらのネガティブ情報はすべて見た目のことだ。実際は全く反対のことがチーム内では行われていた。あるチームスタッフが明かした。
「今日の練習よかったでしょう」
こちらが呆気にとられていると、「なぜ、主力組にシュートが少なかったか? それは…」と前置きして、続ける。
「ボール回しの確認をしていた。ヒデ(中田英)は何の指示もしなければ、すぐ攻撃をしたがる。でも、この練習ではしっかり守って、ボールを回す練習を、とジーコ監督から指示されていた」というのだ。
確かに見た目には、ぎこちない練習だったが、その証拠にジーコ監督は選手にカミナリを落とすことはなかった。
一方、体調を崩している中村に関しては、どのチームスタッフに聞いても「不安はない」と言い切る。オーストラリア戦では、いの一番にガス欠を発生したが、原因は右足の太もも横を2度、相手から蹴られたことが原因。暑さによる体力面の不安ではないことを強調していた。
また別のチームスタッフも「俊輔は、すぐ熱を出す。いつものことだから心配はありません」と涼しい顔だ。いよいよ生き残りをかけた大決戦。このゆとりが、勝利の女神を味方につけるか−