スペインの建築家アントニオ・ガウディ(1852〜1926)が設計したとして有名な、バルセロナのサグラダ・ファミリア(聖家族)教会のうち、「受難」と名付けられた西正面がほぼ完成した。2008年にも教会として使用される。1935年にできた東正面「生誕」と合わせ、3正面のうち2カ所の建設が完了となる。
サグラダ・ファミリア教会は、初代建築家フランシスコ・ビリャールが無償で設計を引き受け、1882年に着工したが意見の対立から翌年に辞任。その後を引き継いで2代目建築家に任命されたのが、当時は未だ無名だったアントニ・ガウディである。以降、ガウディは設計を一から練り直し、1926年に亡くなるまでライフワークとしてサグラダ・ファミリアの設計・建築に取り組んだ。 ガウディの死後、ガウディは仔細な設計図を残しておらず、また弟子たちがガウディの構想に基づき作成した資料なども大部分がスペイン内乱などで消失しており、もはや忠実にガウディの構想通りとはならないこの建築物の建造を続けるべきかという議論もあった。 現在でも職人による伝承や大まかな外観のデッサンなど残されたわずかな資料を元に、時代毎の建築家がガウディの設計構想を推測するといった形で現在も建設が行われている。北ファサード、イエスの誕生を表す東ファサード、イエスの受難を表す西ファサードが完成した。まだイエスの栄光を表すメインファサードのある南側は未完成である。 翌年に初代の建築責任者が辞任したのを受け、ガウディが担当者に任命された。建設は現在も続いており、3番目の南正面「栄光」を含む最終的な落成は、ガウディの没後100年となる2026年ごろと見込まれている。
ガウディの教会に危機? トンネル建設計画に猛反発 スペインからの報道によると、同国東部バルセロナの観光名所で建築家ガウディ作のサグラダ・ファミリア(聖家族教会)のほぼ直下に、高速鉄道AVEのトンネルを建設する計画が持ち上がり、「大聖堂が危険にさらされる」と教会関係者らが猛反発している。 教会下に全長約6キロのトンネルを建設する計画で、スペイン政府は「建設工事中に地盤がぐらつくなどの懸念はない。教会への影響はほとんどないか、皆無だ」と説明している。 これに対し教会関係者は、地質の複雑さなどを考慮すると、トンネルは教会の建物の「永続性」に重大な危険をもたらす可能性があると主張。地元自治体などにトンネル建設中止の働き掛けを要請している。 ガウディは1883年に教会の建設に着手。100年以上が過ぎた今も工事は継続中で、完成までにはなお数10年かかるとみられている