英素粒子物理学・天文学研究会議(PPARC: Particle Physics & Astronomy Research Council)は、欧州宇宙機関(ESA: European Space Agency)が進める「Aurora」火星探査プロジェクトに向けた研究開発において、新たにUK170万ポンドを出資するとの発表を行った。
Auroraの第1段階としては、2011年に仏領ギアナのKourouより「Soyuz Fregat 2b」ロケットに載せて打上げられる予定の火星探査車「ExoMars」で、火星における生命の存在などを探るミッションが明らかにされており、今回の出資金は、ExoMarsに採用される新技術の研究開発費に充てられるという。 ExoMarsは、火星に着陸後、地球からの詳細な指示を待たずに、自ら研究探査対象となるターゲットを探し出し、障害物をよけながら安全に自律走行を続ける高性能な探査ロボットに仕上げられるという。2011年の打上げスケジュールに合わせるため、以前の探査車「Beagle 2」などに用いられた技術をベースに研究開発が進められるとされている。すでに英EADS Astriumは、6輪仕様のテスト車両「Bridget」の試験走行を、カナリア諸島テネリフェ島のテイデ山国立公園内の厳しい自然環境で成功させており、順調に開発が続いているようだ。 2013年に火星へ到着予定のExoMarsは、かつて火星に水が存在したとされる地点などをドリルで掘削して、抽出された物質を現地で解析する十分な装備を整えるとされる。例えば、生命現象と深い関連がある特定の分子のみをトラップして検出する「Life Marker Chip」の搭載が計画されており、他の「Mars Organic Detector」や「Mars Oxidant Instrument」といった解析装置と共に、ExoMarsへコンパクトに収納できるように、研究開発が進められているという。 また、ExoMarsで行われるミッションには、将来的に有人火星探査へとつなげるための入念な火星探査が含まれており、そのために必要となる数々の高性能観測装置の開発も実施されているようだ。