英米の科学者らが26日、米科学誌サイエンス電子版に、「物体を見えなくする素材の開発は可能」とする論文を発表した。 この理論を基に開発が進めば、小説「ハリー・ポッター」に登場する透明マントの作製も夢ではなくなりそうだ。
光は普通、物体に当たって反射したり散乱したりするため、人間は物体を見ることができる。 英セントアンドリュース大のレオンハルト教授らによると、光の進む方向を制御できる特殊な微細構造を持つ複合素材を開発できれば、川の水が丸い石に妨げられず滑らかに流れていくように、光が物体を迂回(うかい)して進む。 この場合、人間の目には、そこには何もないように見え、影もできない。 教授らは、手始めに特定の波長に対する“不可視性”を持つ素材の開発に挑むという。透明マントが実現すれば、軍事技術として利用できるため、研究は米国防総省が支援している。 透明マント実現できる? 「見えなくする」理論確認 かぶれば姿が見えなくなる「透明マント」実現の第一歩?――米デューク大など英米の研究グループが、特殊な微細構造の金属素材で物体を囲うことにより、物体に当てた電磁波を反射させずに裏側へ迂回(うかい)させる実験に成功した。光は物体に当たって反射し、目がその反射光をとらえることで物体は見える。この反射がなければ何もないように見えるはず、という発想を確かめる試みだ。19日発行の米科学誌サイエンスに論文を発表する。 実験の基となった発想は、欧米の別の研究グループが今年5月、「理論的には物体を見えなくする素材は作れる」と同誌に発表した。物体から反射光が返らないと、目が物体の存在を認識できず、あたかも物体が透明になったようにみえる、との理屈だ。 今回のグループは電磁波を光に見立てて、物体に当てた電磁波をねじまげて反射させずに、裏側へ迂回させるような特殊な構造の素材を考案。その素材で囲んだ直径約10センチの銅製の円筒に電磁波を当て、反射を大幅に抑えるのに成功した。 完全に見えなくするためには、反射する光のすべての波長を迂回させる必要があるため、今回の実験成果のままでは「透明マント」の実現は遠い。ただし、レーダーを無力化する技術に応用するため、米軍が研究しているとも言われている。 ■“見えない軍艦”共同研究開始 ■攻殻機動隊「光学迷彩」を再現! 2006年10月14日(土)、東京国際フォーラムにてリクルートが主催した「リクナビNEXT エンジニア適職フェア」特設会場において、攻殻機動隊の光学迷彩を再現する試み「透明人間体感セミナー」が開催された。 ■『光学迷彩』で透明人間を工学的に実現した稲見昌彦 常識に縛られない異才・奇才が未来技術を切り開く。常識破り、型破りの発想をもったクレージーエンジニアを紹介する第13回は、透明人間を工学的に実現した「光学迷彩」をはじめ、情報世界と現実世界を融合させることで、人の能力を拡張させるためのインタフェース研究に挑む電気通信大学の新進気鋭の若手教授、稲見昌彦氏だ。