名画「ローマの休日」の著作権所有を主張する「パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーション」が、同作の激安ソフトを販売する会社に販売差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請した。この作品が公開された昭和二十八(一九五三)年は、著作権の保護期間内にあるのか、期間が終了しているかが明確でない“空白の一年”で、映画の当たり年でもある。関係者の間では「五三年問題」と呼ばれ、司法判断に注目が集まっている。
激安DVD差し止め申請、法改正で混乱 昭和二十八年に公開されたいわゆる二十八年映画には「ローマの休日」のほか、西部劇「シェーン」やSF「宇宙戦争」、小津安二郎監督の「東京物語」などの名画が多く、平成十五年十二月三十一日で公開後五十年を経過している。 十六年一月一日、映画の著作権保護期間を公開後五十年から七十年に延長した改正著作権法が施行されたことで、保護期間の解釈に相違が出た。 同法を所管する文化庁は、二十八年映画について「保護期間の終了した十二月三十一日二十四時と、改正法施行の一月一日零時は同時」とし、「改正法の施行時は著作権の保護期間内にあり、改正法が適用される」との見解を示している。 パラマウント社側は「文化庁の見解は、昭和四十五年に同法が改正されたときの考え方を踏襲している。従来の考え方ならば著作権は継続している」と説明する。つまり、「ローマの休日」の著作権保護期間は、七十年ということになる。 これに対し、一部の業者は「二十八年映画の保護期間は十二月三十一日で終了し、その後に改正法が施行された」と主張している。保護期間が終了した映画は「パブリックドメイン」(公共物)となり、自由に使うことができるとして、著作権料を払わずに激安ソフトの販売を始めている。 パラマウント社側によると、「ローマの休日」だけで、五百−千円のDVDが七、八種類も出回っている。同社は警察に相談したが、「海賊版かどうかは司法判断がないと分からない」と回答され、申請に踏み切ったという。 ■ローマの休日 オードリー・ヘプバーン関連の商品はこちら!