09年に実施予定の株式の電子化(ペーパーレス化)を前に、証券保管振替機構などが、個人が自宅などに保管している株券をきちんと本人名義に書き換えるよう呼びかけている。 名義が以前の所有者のままだと、電子化と同時に所有権を失う恐れがあるという。
電子化の際、株式を証券会社を通じて振替機構に預けていれば、株主の権利は確実に守られる。だが、個人が株券を持つ「タンス株」は、株式の発行会社が株券の名義人の名前で管理している。 株式を相対取引で取得し名義を書き換えていないと、発行会社は所有権の移転がわからず、電子化では、以前の所有者の名義になってしまう。 名義書き換えは、証券会社を通じて振替機構を利用すれば、株主本人の手続きは不要。電子化は09年1月を目標に準備が進み、直前は申し込みが殺到する恐れがあるため、振替機構は早めの対応を呼びかけている。電子化後は紙ベースの株式はただの紙切れになる。 「タンス株」なお180億株・7兆円分 個人が自宅などで保管する「タンス株」が、今年3月末時点で約180億株あるとみられることが証券保管振替機構の調査で分かった。時価は推定7兆円余りになるという。タンス株は名義が所有者と異なる場合、09年1月に株式が電子化されると所有権を失う恐れがある。このため、同機構は名義の確認を呼びかけている。 同機構が信託銀行などの株主名簿管理人計7社からのアンケートなどを基に算出した。 調査結果によると、7社が管理する計約3643億株のうち、同機構にまだ預託されていない株券は約858億株(23.6%)。このうち、金融機関の担保になっている分なども含めた個人所有は約269億株、事業法人所有が約428億株で、残りは金融機関や外国人などだった。 ■証券保管振替機構