物理演算プロセッサ「PhysX」のPCI Express対応版を発表した。搭載システムは年末に出荷される。PhysXは、2005年の発表当初、PCIとPCI Expressのインターフェイスを両方備えたプロトタイプ版が公開されていたが、同社は転送量の面からPCIで十分とし、PCI Express版は当面リリースしないとしていたが、PCIスロットの少ないシステムを利用しているユーザーにとっての障壁が取り払われた。
ユーエーシー株式会社は、米BFG Technologies製の、物理演算プロセッサ「AGEIA PhysX」搭載カード「BFGRPHYSX128P」の国内販売を5月下旬より開始する。価格は未定。
『BFGRPHYSX128P』は、AGEIA社の物理エンジンプロセッサー「AGEIA PhysX」を搭載したPCIバス対応の物理演算向上カードです。物理演算専用エンジンの役割を簡単にいうと「物体の動きを計算する」ということになる。FPSゲームで考えてみると「プレーヤーが発射した弾丸がどのような軌跡を描いて進んでいくか」「進んだ弾丸は目標のどこに命中するか」「命中したときに弾丸が持っているエネルギーは目標の装甲を貫通するか」「貫通した弾丸は目標のどこまで到達するか」「到達した弾丸が爆発したとき爆風と破壊力はどの部分まで影響するか」「爆発で吹き飛んだ破片はどのような軌跡を描いて飛んでいくか」……という事象をインプリメントされた物理モデルとアルゴリズムにしたがって計算によって求めていくことになる。 この過程をより精密に処理しようとすると膨大な要素が関わることになる。例えば「飛んでいる弾丸の軌跡」に限って考えても、弾丸が発射された方向や加速度、初速、弾丸の自重、その場の重力は当然として、弾丸が飛んでいる各時点における風速や気温、湿度、気体密度に始まって「その地点における自転速度」なんて要素まで考慮しなければならない(実際に戦艦が主砲を撃つときは「地球自転の速度」まで計算に入れていた)し、先ほどの例の最後で吹き飛んでいった「破片」も飛んでいった先で「弾丸」と同じように命中判定や破片の持っている運動エネルギーから命中した対象に与える影響を計算しなければならない。 もちろん、従来のゲームタイトルでも「物体の動き」に関する計算は行っている。その計算を実際に行っているのはCPUであったり、最近ではGPU内部で行っていたりする。飛んでいる弾丸とその目標(多くの場合において目標も運動している)の命中判定といった「運動する2つの物体の衝突」といった計算から「風に揺らぐ木の枝」「颯爽と歩く女性のしなやかな髪の動き」などは、いままでもCPUやGPUで処理しており、そのパワーをアピールするデモプログラムも用意されている。 しかし、これらは「ほかにもやることがあって忙しい」チップに時間を割いてもらって処理をしているのだ。もっとも「物体の運動を計算で求める」という仕事はCPU的であるが、しかし、計算に関わってくる要素が多くなれば、ほかにも仕事があるCPUにすべてをお願いするわけにはいかなくなる。そのため、現状では運動に関する演算をある程度の精度で止めていたりある部分にしか適用していなかったりするのが実情だ。そのために物体の挙動が不自然になることも少なくない。GPUベンダーが物理計算に関わる処理をGPUに肩代わりさせようとしているのも「よりリアルなゲーム」を目指すためにより精密な(そして膨大な)物理計算をGPUで行おうとしているためだ。 特にCPUとビデオカードの処理能力だけでは今日の膨大な3Dグラフィックのクオリティを全て表現することは難しく、対応のゲーム用に開発された物理エンジンを使用することで、正しい3Dゲームの描写をリアルに表現します。 『BFGRPHYSX128P』には128MBの128bit-GDDR3ビデオメモリを搭載しています。PhysXカードにおいては搭載ビデオメモリによる3Dゲームのパフォーマンスは左右されず、ハイクオリティな描写で物体の動きをリアルタイムに表現します。 そのため、PCに搭載されるCPU、メインメモリ、ビデオカードの性能によりパフォーマンスは依存されます。また、PhysXカード自体においても対応ゲームによる物理処理でリアル描写を実行し、CPUとビデオカードをサポートするPCIカードのため、多種多能の製品展開の予定はなく、BFGから提供される最新ドライバーのアップデートによって更新されるため、製品サイクルを気にすることなく使用することが出来ます。しかも、その高い技術力と高い品質で製造されたBFGのPhysXカードやビデオカードには永久保障での対応がされています。
<BFGRPHYSX128Pの主な仕様> ・プロセッサー AGEIA PhysX ・ビデオメモリ 128MB 128-bit GDDR3 ・Peak Instruction Bandwidth 20 Billion Instructions/秒 ・Sphere-Sphere Collisions. 530 Million/秒 (最大) ・Convex-Convex (Complex Collisions) 533,000/秒 (最大) ・インターフェース 32-bit PCI 2.3(3.3v & 5vサポート) <動作環境> ・CPU: Intel Pentium4 1.6GHz以上、または同等のCeleron、AMD Athlon XP/Duron/Athlon 64 ・メモリ: 128MB以上 ・対応OS: Microsoft Windows XP Home、Pro、Media Center Edition ・光学ドライブ: CDまたはDVD-ROMドライブ ・HDD空き容量: 20MB以上 ・電源: 300W以上 ・PCI: PCI Rev2.3以降のPCIスロット×1搭載 ・ビデオカード: Microsoft DirectX 9.0 Shader Model 2.0以上対応 ※ NVIDIA GeForce 6600以上搭載ビデオカード推奨
PhysXが機能するにはソフトウェア側にPhysXを利用するためのファンクションコードが組み込まれていなければならない。現在PhysXに対応したゲームタイトルでは「Tom Clancy's Ghost Recon Advanced Warfighter」や「Gunship Apocalypse」「Unreal Tournament 2007」「Warhammer MMORPG」などが名を連ねている。ASUSのPhysX P1には「Tom Clancy's Ghost Recon Advanced Warfighter」と「Cell Factor」、それから「Switchball」が添付されているので、購入したユーザーはすぐにPhysXの効果を試すことができる。 ■AGEIA PhysXの価格比較・購入検討はこちら!