発光ダイオード(LED)の赤外線の小さな光に、傷を治したり、筋肉を増強したり、糖尿病の深刻な合併症を改善したり、失われた視力を回復したりする力があるということだ。しかし、そもそもなぜこのような奇跡的な効果があるのかは、誰にもわかっていない。
発光ダイオード(LED)デジタル時計やテレビのリモコンに使われている、小さくて非常に消費電力の少ない発光素子が身体の回復プロセスを促進する可能性については、10年以上前から研究が行なわれてきた。米航空宇宙局(NASA)、米国防総省、さらに数十の病院が臨床試験に参加している。老人ホームや病院向けのLED照射器も市販され、雑誌やテレビが競ってこの話題を取り上げている。『メディケア』[65歳以上の高齢者を対象にした医療健康保険制度]などは、一部のLED治療を保険の適用対象として認めている。
だが、それほど研究と注目の的になっているにもかかわらず、「なぜこのような効果があるのか、明確な理由はわかっていない。いくつかの仮説があるだけだ」と、『ウォルター・リード陸軍研究所』(WRAIR)の分子病理学部門を率いるマーティ・ジェット博士は言う。