ツタンカーメン王の黄金のマスクなどの収蔵品で知られるカイロのエジプト考古学博物館が、郊外のピラミッド近くに5年後をめどに移転し、「大エジプト博物館」として再オープンすることになった。 現博物館の老朽化が目立つためで、総額約700億円の事業費のおよそ半分が円借款でまかなわれる予定。政府は、ピラミッドとの相乗効果によるエジプト観光の活性化をもくろんでいる。
カイロ中心部にあるエジプト考古学博物館は、古代エジプトのミイラや宝物など18万点を所蔵。だが、1900年に3万5000点を展示する設計で建設された建物が老朽化して手狭となった。展示品の説明も不十分で、日本の旅行ガイド本に「未整理の巨大な物置」と評される始末だ。 この状態を打開するために企画された新しい「大エジプト博物館」は、カイロ中心部から南西約15キロにあるギザの3大ピラミッド地区近くに建設。展示面積は従来の倍近い3.5万平方メートルで、展示点数も10万点になる。11年6月の完成を目指す。 ツタンカーメンのマスクなど主立った収蔵品は新博物館に移る。展示方法もテーマ別に分類され、詳細な説明をつけるという。従来の博物館は、古代エジプト美術にテーマを絞った展示の場となる予定だ。 事業費約700億円のうち348億円余りが円借款。03年5月に小泉首相がエジプトを訪問した際、ムバラク大統領に協力を表明した。今年4月30日にはカイロ市内で、エジプトのアブルナガ国際協力相と槙田邦彦駐エジプト大使による署名式があった。 残りは、エジプト政府が内外で資金や募金を集めてまかなう。スポンサー制度も導入し、ツタンカーメンの埋葬品コレクションのスポンサー料は3000万ドル(約34億円)という。 博物館のエジプト学部長サレハ博士は「新しい施設で古代エジプト文明の豊かさを見せたい。日本の協力に感謝する」と話している。 2006-05-09 16:51:50