NVIDIA SLIは、高速な3D描画パフォーマンスを加速するのがNVIDIA SLI。絶大な効果や見た目の派手さから大きな注目を集めた一方で、当初は細かい設定方法などの運用面に関する情報が乏しかったため、市場では少なからず混乱も起こってた。NVIDIAが運営するゲーマー向けWebページ“nZone”に掲載されている情報を中心に、もう一度一通りまとめてみよう。
NVIDIA SLIに対応したマザーボードが1枚と、NVIDIA SLIに対応したビデオカードが2枚、そしてOSはWindows XPが必要だ。ビデオカードは、同じGPUを搭載していて、かつ同一メーカーの同一型番製品であるという条件がある。原理的には同一GPUであれば平気なように思えるが、相性は結構シビアなようで、同一メーカー同一型番という条件は厳守したほうがいい。同型番製品が数カ月後に入手できる保証はどこにもないので、「とりあえず1枚で利用しておいて後からもう1枚差してパワーアップする」といった使い方は難しいだろう。
『電源コネクタ』 ASUSTeKのA8N-SLI Deluxeには電源供給を補助するコネクタが付いており、SLI構成時には接続が必須。カード自体にコネクタをもつカードはそちらも接続する。 『セレクタ』 PCI Expressのレーンを2つのビデオカード用スロットに振り分けるセレクタを「Dual Video Card」側にセットする。マザーボードによってはジャンパなどで設定するものもある。 『SLIコネクタ』 SLIコネクタはマザーボードに付属する。公式には向きは特に明記されていないが、設定例の写真を見るとどれもこの方向だ。向きを逆にして試してみたところ正常に動作し、性能も変らなかった。 『ドライバの設定』 画面のプロパティからGPUのプロパティを開く。左に開くパネルから「SLIマルチGPU」の項目を選択し、「マルチGPUを有効にする」のチェックをオンにする。ロードバランサのチェックも入れておいたほうがいい。設定は再起動後に有効になる。
NVIDIA SLIの最適化はドライバ側ですべて処理するので、ゲームの側では何も変更する必要がない。ドライバの設定は基本的にはシンプルで、画面のプロパティからGPUのプロパティを開き、「マルチGPU」タブでSLIマルチGPUのチェックを入れるだけだ。SLI動作を確認するため、ロードバランス表示(それぞれのGPUへのロード配分を表示する)のチェックも最初は入れておいたほうがいいだろう。 ロードバランサの表示もまた混乱の元になっていたのだが、表示方法が2種類あるということは意外に知られていない。というのもNVIDIA SLIには大きく分けて、AFR(Alternate Frame Rendering)とSFR(Split Frame Rendering)の2種類のレンダリングモードが存在し、AFRとSFRではロードバランサの表示が異なるということだ。前者は過去の類似製品でよく使われた方法だが、画面を奇数フレームと偶数フレームに分割してレンダリングする方法。NVIDIA SLIの説明でよく使われていたのは後者で、画面を上下に分割して2つのGPUでそれぞれレンダリングを行なう方式だ。また、どちらの方法を使うかはドライバがゲームごとに最適な方法を選択する。 このゲームごとの設定が記録されているのが「アプリケーションプロフィール」というリストである。アプリケーションプロフィールは、「C:\Windows\System32」というフォルダ内にある「NvApps.xml」というファイルで、ゲームごとにAFR、SFR、シングルGPUのどのモードでレンダリングを行なうかがパラメータで記載されている。基本的にはAFR=1、SFR=2、シングルGPU=4などとなっているが、NVIDIAが細かく解析して個別のパラメータを設定(シーン別にモードを変えるなど)しているゲームもあるようだ。どちらのモードが効果的かはゲームや描画シーンごとに違うが、このプロフィールを見ると、効果の高いゲームはAFRか個別の最適化設定で動作しているものが多い。