利き手の違い解明に手がかり、脳の左右の構造に違いがあるのは、それを構成する神経細胞の形成時期に差があるためであることを、理化学研究所(野依良治理事長)の研究チームが突き止めた。 なぜ右利きや左利きがあるのかなど人間の脳の左右差を解明する手がかりになる成果で、8日付の米専門誌に発表した。
研究チームは、左右で構造が異なり、意欲や気分などの制御にかかわっている「手綱核(たづなかく)」と呼ばれる脳の部位に注目。大脳周辺(大脳辺縁系)にある手綱核の左右差がどう形作られたか、ゼブラフィッシュという魚の受精卵を使い調べた。 その結果、受精後に早くできた神経細胞は、主に左側の手綱核を、遅くできた神経細胞は右側を形作っていることを確認。神経細胞ができる時期で左右差が決定されることを見いだした。 人間の場合、左の大脳で言語を、右脳で視覚を制御するなど、脳の働きに左右差があることは知られている。 最近、脳の左右で神経細胞の結びつき方など構造にも違いがあることがわかってきたが、その違いがなぜ生じるのかは不明だった。