メキシコシティの労働者が多く住む地区の一角でこのほど約1500年前に作られたとみられるピラミッドが発掘されたことが、メキシコ国立人類学歴史研究所の考古学者の発表により明らかになった。
今回発見されたピラミッドは「神々の都市」として知られるメキシコ最大の古代都市ティオティワカンにある巨大ピラミッド「月のピラミッド」とほぼ同サイズの底辺があり、考古学者によれば、紀元後400年から500年の間にティオティワカンのピラミッドを作った人々が宗教儀式のために建造したものとみられている。 ピラミッドは地下60センチに埋まっており、その部分は保護されているものの、全体の半分程度は破壊されており、その原因としてはピラミッドが発見された丘では、毎年復活祭のシーズンにキリストの受難と復活を再現したイベントが行われており、数十万人の信者が詰め掛ける場所となっているほか、丘の一面には不法に建てられた家が立ち並び、人の手による損傷が加えられてきたと考えられている。 この丘の周りには広場や寺院などもあり、既に人々にとっての聖地となっているため、考古学チームとしてはこれ以上の発掘は困難とみている。しかしこの丘の眼下にはメキシコシティで最も貧しく危険といわれる地区が広がっており、故意の損傷や車の出入りを制限するため、ピラミッドの外周にフェンスを建設することが検討されているという。