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April 12, 2006 space
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下落ぎみのNZドル、なぜ?そしてどうする?

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NZ(ニュージー・ランド)ドルが暴落しています。3月22日(水)現在、最近の高値をつけた12月初旬と比べると当時の約87円から73円まで約3ヶ月間で約16%下落しています。
 

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 この間米ドルも下落していますが、せいぜい121円から116円程度に下がっただけで、その下落率は4%にも満たない小さなものです。NZドルの下落がいかに大きいかが分かるでしょう。

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 NZドル投資はこの5年間で160%のリターン
 
 皆様の中にもNZドル安円高でかなり痛手をこうむっていらっしゃる方もいるのではないかと思います。もっとも、かなり以前からNZドル投資を始められた方は、それ以前の利益がかなり大きいのでこの程度の損失はたいしたことがないのかもしれません。円/NZドル相場は2000年秋には42.6円でしたから、昨年の12月までに2倍以上に上昇していました。この間、短期金利は年平均で約6%ついていましたから、トータル・リターンは5年間でなんと160%です。少なくとも一昨年よりも前に投資をされている方は、ここまでではないにせよ、今回の暴落後でもまだ利益が出ているはずです。
 
 
 なぜか日本の投資家は豪ドルとNZドルが大好き
 
 円/NZドルレートは、NZドルと日本の金利差との相関が大変に高いことで知られています。NZの金利が上昇し日本との金利差が拡大すると対円のNZドルレートも上昇し、反対にNZの金利が低下し日本との金利差が縮小するとNZドルも下落するのです。今回暴落している理由は、NZの景気が芳しくなくなっていることから今後利下げが予想されていることと、日本で量的金融緩和が解除され利上げの可能性が高まっているためです。しかしながら世界の主要国通貨を見たときに、円/NZドルほど金利差と為替相場の相関が高い通貨のペアはありません。これは日本人がNZドル投資が非常に好きであることと関連しています。
 
 そもそもNZは経済の規模が小さく、GDP(国内総生産)は日本のわずか2%、債券市場の規模は米ドル建てやユーロ建てと比べると100分の1にもなりません。従って筆者のようなグローバル債券を扱うプロにとってはNZは非常にマイナーな市場です。しかしながら日本の個人投資家にはNZが大人気で、外貨建MMF残高を見ると最近では米ドル建ての約6%、ユーロ建ての半分以上の規模にまで膨れ上がっています。
 
 このことは豪ドルにもいえます。豪州のGDPも日本の1割以下、債券市場は米ドル・ユーロ建ての1%未満です。にもかかわらず日本の投資家は同じく外貨建MMFで見ると、米ドル建ての約15%、そしてユーロ建てよりも多くの投資を行っているのです。
 
 
 NZ経済を左右するほどの影響力を持つ日本の個人投資家
 
 このため、豪州とニュージーランドの為替相場はかなり日本の個人投資家の動向に影響を受けており、結果として豪州やニュージーランドの経済そのものが日本の個人投資家の動きに左右される構造になっています。NZ金融当局者も日銀の量的金融緩和解除により日本への資金回帰が始まりNZドルが暴落するのではないかと恐れており、日銀とのコンタクトを非常に密にしているといわれています。
 
 NZには苦い歴史があります。95年頃好景気に沸いたNZは景気を抑えるため金利を引き上げたのですが、それにより日本を中心とした海外から資金が急速に流入し予想を上回るNZ高となりました。その結果当局者の思惑以上に景気が冷ええつつあったところに間が悪いところにアジア危機が発生し、98年には政策金利を半年間で10%から2.6%まで急激に引き下げざるを得ないほどのデフレに追い込まれてしまいました。為替相場の乱高下は経済のコントロールを非常に難しくするのです。為替相場はこの急速な利下げにより97年〜2000年にかけて88円から43円まで約半分に下落しました...。
 
 NZ当局者の頭の中には、景気が下降しつつある現在、この時の記憶が生々しくよみがえってきているものと思われます。これ以上通貨が高騰することになればおそらくかなり激しい利下げを行うことを計画しているものと思われます。
 
 
 長期投資が基本
 
 さて、NZドルは既にここ3ヶ月間で16%下落しています。ここでさらに売るのか、あるいは買おうか悩んでいらっしゃる方もいらっしゃると思います。そうした方にはとりあえず放っておくことをお勧めします。
 
 97年から2000年にかけてNZドルは半分になりました。しかしながら高金利が下支えとなり、トータル・リターンはマイナス38%ほどに止まりました。今回も金利が下支えしてくれるはずです。また、おそらく今回は前回ほど大きな為替暴落にはならないと思われます。前回はアジア危機という非常に大きなイベントがあり、それにより日本経済も大きな金融機関が次々と破綻するほどのダメージを受けました。今回はそこまでのことが起きるとは考えられません。さらに、前回は日本経済が非常に厳しい状況となったため日本人がNZドル投資ができる余裕がなくなり、いわゆる「売りが売りを呼ぶ展開」となって為替が暴落したという面もあります。少々の下落に動揺せず、我慢する人が多くなるほど、通貨は下がらないのです。
 
 外貨投資は長期投資が基本だと考えています。NZドルは97〜2000年にかけてトータル38%下落しましたが、その後の上昇により97年の高値で投資を始めた人でも2005年冬までにトータル68%の利益を得ています。NZ経済についての詳しい話しは割愛しますが、けっして長期的なファンダメンタルズは悪くありません。少し長い目で見ることをお勧めします。
 
 

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