人気Flashアニメ「古墳GALのコフィー」が、テレビ地上波に乗る。作画も監督も脚本も声優も、たった1人でこなした低コストアニメで、「30分で1000万円が相場」というアニメ制作費用の常識を覆す。
作画も監督も脚本も声優も1人でこなしたFlashアニメが、テレビで放映される。4月5日からテレビ朝日系列の深夜帯で放送する30分番組「THE FROGMAN SHOW」で、ネット上で人気のFlashアニメ「古墳GALのコフィー」のテレビ向け再編集版と、同じ作者による新作Flashアニメ「秘密結社・鷹の爪」の2本立てを、全11回シリーズで放映する。 一般の30分アニメは何十人ものスタッフと、1000万円程度の制作費が必要だが、Flashアニメなら1人でも製作可能。コストも、人件費とPCなどのツール分だけで済んでしまう。「絵を描きながらストーリーを考え、声も入れて……1本あたり、数日でできます」と、製作した蛙男商会の小野亮会長(ハンドルネーム:フロッグマン)は語る。 小野会長が作る動画は、一般のアニメよりも平面的で動きも少ない。漫画編集者の竹熊健太郎さんは「鉄腕アトム以来、日本のアニメは(動きが少ない)“電気紙芝居”からの脱却を目指してきたが、フロッグマンさんの作品はその逆を行っている。しかし面白い」と感心する。 テレビ朝日の西口なおみ担当プロデューサーは「面白かったとしか言いようがない」と、同アニメの放映を決めた理由を語る。平日の深夜帯は、たくさんの企画書が持ち込まれる激戦区というが、「最終的には、5人のプロデューサーで担当を取り合った」(西口プロデューサー)ほどだったという。 「古墳GALのコフィー」は、前方後円墳女子高生(古墳ギャル=コギャル)の「コフィー」が、古墳や埴輪の友人・家族と関わりながら展開する物語。「死のイメージとかわいいいギャルをミックスした」といい、ネット版は月間15万ユーザーが視聴しているという。 「秘密結社・鷹の爪」は、世界征服を目論みながらも、情に厚く弱者を助けてしまうベンチャー秘密結社「鷹の爪団」をめぐる物語で、「負け組の悲哀を描きながら、世の中は勝ち負けではないと社会風刺する」という。 小野会長はその内容を「笑えるけど、ちょっと感動できるストーリー」と語る。「友情とか親子愛とか、ベタな話が好きなんです。でもそれを文章や実写で語るとクサくなる。でも古墳のギャルに語らせれば笑えるし、押しつけがましくない」(小野会長)。 東京で映画やテレビ製作にかかわった後、結婚を機に島根県に移住し、Flashアニメ製作を始めた小野会長。「ネットを使えば、1人で作品を作れるし、島根からでも全国に発信できる」。世界進出も狙っているという。 番組制作には、コンテンツ制作者組合のDLEも関わった。ダイジェスト版は「東京国際アニメフェア2006」(3月26日まで、東京ビッグサイト)のDLEブースでも見られる。 ■ 蛙男商会