オーストラリア西部の草原に露出した約35億年前の地層から、地球温暖化効果が高いメタンの生成菌が存在した証拠を発見したと、東京工業大と東京大の共同研究チームが23日付の英科学誌ネイチャーに発表した。この草原やアフリカ、カナダでこれまで見つかっていた約28億年前の証拠を7億年さかのぼり、最古の証拠。
最も古い生命体とされるメタン生成菌が約35億年前に存在していたことを示す証拠を、東京工業大学の上野雄一郎助手(地球科学)らが発見した。メタン生成菌、最古の証拠=35億年前、豪州で発見−地球温暖化貢献・東工大など従来より7億年さかのぼる。 これまでの証拠より約7億年古い。 メタンガスは、二酸化炭素の約20倍の温暖化効果があり、太古代(25億年以前)に地球の寒冷な気候を緩和し生物が暮らしやすい環境を作ることに貢献していたと考えられる。 東工大の上野雄一郎助手によると、太陽系が約46億年前に誕生してから11億年後の当時は太陽の光が弱く、大気中にメタンなどの温室効果ガスが多く存在しなければ、地球全体が凍結していたと考えられる。地球の気候システムを理解し、今後の変動を正確に予測する上で重要な手掛かりになると期待される。23日付の英科学誌ネイチャーに発表する。 上野助手らは、西オーストラリア・ピルバラの約35億年前の古い地層で、石英に閉じ込められていた気泡の中に生物が作ったメタンがあることを突き止めた。 この石英は、熱水が岩盤を上昇し海底に達した時に溶けていた成分が結晶化してできた。炭素には原子量が12と13の2種類があり、生物は軽い12を取り込みやすいため、炭素と水素でできているメタンの炭素を調べると生物が作ったものかどうかがわかる。メタンは海底の熱水中の菌が作ったらしい。 生命の最も古い痕跡は約38億年前のグリーンランドの堆積(たいせき)岩のものだが、どのような生物が作ったのかわかっていない。上野助手は「昔の地球がどのような気候だったのか考える手がかりになる」と話している。