野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の日本代表は17日、試合会場となる大リーグ、パドレスの本拠地球場ペトコパークで、18日の韓国との準決勝に向けて約1時間半練習した。
選手たちはランニングやキャッチボール、フリー打撃などで入念に調整。右足を痛めた岩村(ヤクルト)の出場は微妙で、小笠原(日本ハム)が三塁の守備練習をする場面もあった。
先発予定の上原(巨人)はランニングやキャッチボールで軽めのメニュー。韓国には1次リーグから2連敗しており「(準決勝からは)一発勝負なので負けたらおしまいになる。最初から全力でいけるところまでいく」と意気込む。15日の韓国戦では、韓国側の応援が圧倒的に多く、日本選手へのブーイングも起きたが、上原は「甲子園での阪神戦の方がすごい。甲子園球場が揺れる。こっちは球場が揺れない」と気にしていない様子。
決戦を前に王監督は「日本は最高の投手が集まっている。必ず勝つという強い気持ちで戦う」と言葉に力を込めた。
一方、練習後に会見した韓国の金寅植監督は「ここまでこられて驚いている。選手たちが実力通りのプレーをしてくれたおかげ。日本はライバルという気持ちがある」と話し、先発予定の徐在応は「我々のベストを尽くし、最高の試合になるといい」と大一番への抱負を語った。
弱気なライオンは眠らせておけばいい。
王監督の自信は揺るぎない。「2試合とも負けてしまったが、クロスゲームでどちらに転んでも不思議でないという戦いだったと思う。今度は日本チームとして最高のパフォーマンスを発揮して必ず勝ちたい、勝つという強い気持ちを持って戦います」。力強く言い切った。
試合前
ついに、今大会“3度目”の日韓戦が始まる。アジアの覇権、そして今大会の決勝進出をかけた大事な一戦に、日本は打順を変更してきた。センターには、不振の福留に代わり、青木を1番で起用。そして、今まで1番として日本を引っ張ってきたイチローを3番に入れた。また、前回の韓国戦で負傷した岩村に代わり、今江を6番・サードに。この組み替えが吉と出るか、凶と出るか。日本の先発マウンドには、予想通り、国際経験豊富な上原がマウンドに上がる。一方の韓国の先発は、ソ・ジェウン。今大会好調のエースに、韓国は先発マウンドを託す。
1回表
・試合前に小雨が降り、12時20分に試合開始。韓国の先発マウンドに右腕ソ・ジェウンが上がる。
1:青木 初球から積極果敢に打ちに行くも、ピッチャーゴロ。
2:西岡 2ストライクから3球目、外角のチェンジアップに空振り三振。
3:イチロー 1ボールからの2球目、外角高めのストレートを強引に引っ張って、ライト前ヒット!
4:松中 2死一塁。初球、イチローが二盗に成功。得点圏に走者を進めたが、2ストライク1ボールからの4球目、外角のチェンジアップにバットを合わせるようなバッティングでサードゴロ。
・WBCで初めて3番に入ったイチローのヒットで、二塁まで走者を進めた日本だったが、後続が倒れて無得点に終わった。
1回裏
・WBCでは初めての韓国戦となる上原がマウンドに上がる。
1:イ・ビョンギュ 2ストライク1ボールからの4球目、フォークでレフトフライに打ち取る。
2:イ・ジョンボム 2ストライク1ボールからの4球目、高めに抜けたフォークを打たれて、右中間を破る二塁打となった。
3:イ・スンヨプ 1死二塁。2ストライク1ボールから5球ファウルを挟んでの9球目、高めのボール気味のストレートで空振り三振。
4:チェ・ヒソプ 2死二塁。2ストライク1ボールからの4球目、フォークが股間を抜けるパスボール。イ・ジョンボムが三塁へ進む。続く5球目、真ん中低めのストレートでファーストゴロに打ち取り、ピンチを切り抜けた。
・上原、三塁に走者を背負うも、無失点に抑える。ただイ・スンヨプに粘られたこともあり、球数は22球と多かった。
2回表
5:多村 1ストライクからの2球目、チェンジアップを引っ掛けてショートゴロ。
6:今江 2ストライクからの3球目、スライダーを打ってサードゴロ。
7:小笠原 1ストライク1ボールからの3球目、内角低めのスライダーを引っ張って、ライトフライ。
・日本、ソ・ジェウンのコントロールのいい投球に戸惑い、ヒットを打てず。
2回裏
5:イ・ジンヨン 2ストライク2ボールからの5球目、チェンジアップを打たせて、セカンドゴロ。
6:イ・ボムホ 2ストライクからの3球目、外角のフォークでセカンドゴロ。
7:パク・ジンマン ボール先行の投球だったが、フルカウントからの6球目、143キロのストレートで空振り三振に打ち取った。
・上原、2回は14球で3者凡退に打ち取る。
3回表
8:里崎 2ストライクから1球ファウルを挟んでの4球目、真ん中低めのストレートを引っ張るもショートゴロ。
9:川崎 初球、セーフティーを空振り。2球目、真ん中のストレートを引っ張って、ワンバウンドでライトフェンスを直撃する二塁打!
1:青木 1死二塁。ボールが4球続いて、四球。
2:西岡 1死一、二塁。1ストライク3ボールからの5球目、外角のストレートを左方向に打ち返し、痛烈な打球もサード正面のライナー。一走の青木も戻れず、併殺打。
・日本、走者をためるも不運な当たりでチャンスを生かせず。
3回裏
8:チョ・インソン 2ストライクからの3球目、外角低めのストレートで見逃し三振。
9:キム・ミンジェ 初球、ストレートを打って、ライトフライ。
1:イ・ビョンギュ 2ストライク2ボールからの5球目、外角高めのストレートでサードゴロに打ち取る。
・上原、チャンスを逃した後のマウンドだったが、気落ちを見せず、9球で3者凡退。3回までの球数は45球。
4回表
3:イチロー 2ストライク2ボールからの6球目、チェンジアップでボテボテのセカンドゴロ。しかしイチローは俊足を生かして、内野安打とした。
4:松中 無死一塁。3ボールからの4球目、イチローがこの日、2つ目の盗塁を成功させる。その後、フルカウントから真ん中のチェンジアップにタイミングを外され、サードファウルフライ。
5:多村 1死二塁。初球、チェンジアップを引っ張って、場内がどよめく飛球もフェンスぎりぎりのレフトフライ。
6:今江 2死二塁。続く今江も初球から積極的に打つも、センターフライ。
・日本、得点圏にこの試合、3度目の走者を進めるも、得点ならず。
4回裏
2:イ・ジョンボム 初球、レフトポール際の大ファウルも多村がジャンピングキャッチでアウトにするファインプレー! 当たっているイ・ジョンボムをレフトファウルフライに打ち取った。
3:イ・スンヨプ 1ストライクからの2球目、ストレートを打って、ライトフライ。
4:チェ・ヒソプ 2ストライク1ボールからの4球目、141キロのストレートを打たれるも、センター正面のフライ。
・上原、多村のファインプレーにも助けられ、テンポのいい投球で3イニング連続の3者凡退。
5回表
7:小笠原 1ボールからの2球目、外角低めのチェンジアップを打って、レフトフライ。
8:里崎 1ストライク1ボールからの3球目、ストレートを打って、センターフライ。
9:川崎 2ストライク1ボールからの4球目、外角のチェンジアップを打たされて、セカンドゴロ。
・日本、あっさりと3者凡退。
5回裏
5:イ・ジンヨン 初球、内角のストレートでセンターフライに打ち取る。
6:イ・ボムホ 2ストライクからの3球目、フォークで空振り三振に打ち取る。
7:パク・ジンマン フルカウントからの6球目、ストレートを打たれて、センター前ヒット。
8:チョ・インソン 2死一塁。初球、ストレートを打たせて、センターフライ。
・上原、2アウトから久々の走者を出すも、後続を冷静に打ち取る。5回まで費やした球数は63球。
6回表
・韓国は好投していたソ・ジェウンから左腕ジョン・ビョンドゥに投手交代。
1:青木 1ボールからの2球目、外角高めのストレートを逆方向に打ち返すもレフトフライ。
2:西岡 2ストライク2ボールからの5球目、高めの変化球を打って、セカンドゴロ。
3:イチロー 2ストライク1ボールからの4球目、外角のスライダーをうまく打ち返すも、ショートゴロ。
・日本、1番青木からの好打順だったが、3者凡退。
6回裏
9:キム・ミンジェ 1ストライクからの2球目、フォークを打たせて、ショートゴロ。
1:イ・ビョンギュ 2ストライクからの3球目、真ん中低めのフォークで空振り三振。
2:イ・ジョンボム 2ストライクから1球ファウルで粘っての4球目、フォークを打たせて、サードゴロ。
・上原、フォークを有効に使って、3者凡退。6回まで72球と理想的な投球を見せる。
7回表
4:松中 2ストライク1ボールからの4球目、真ん中のストレートを引っ張ると、打球はライト線を抜ける二塁打!
・韓国、右の多村を迎えるところで右サイドの速球派キム・ビョンヒョンをマウンドに送る。
5:多村 無死二塁。バントの構えを見せるも、失敗。結局、2ストライク2ボールからの5球目、外角のスライダーに空振り三振。
6:福留 1死二塁。今江の代打にスタメン落ちしていた福留を送る。1ストライク1ボールからの3球目、真ん中のストレートを引っ張り、打球はライトスタンドへ一直線の先制2ラン!
7:小笠原 初球のストレートが小笠原の右太ももに当たる死球。審判はマウンドのキム・ビョンヒョンに警告。
8:里崎 1死一塁。2球目、キム・ビョンヒョンのボールがワンバウンドになる暴投で小笠原が二塁へ進む。2ストライク1ボールからの内角低めのカーブを打って、打球はワンバウンドでレフトスタンドに入るエンタイトルツーベース! 二走の小笠原が3点目のホームを踏んだ。
・韓国、3点取られたキム・ビョンヒョンに代わって、メジャーリーガーのボン・チュングンがマウンドに上がる。
9:川崎 1死二塁。1ストライクからの2球目、カーブを打って、セカンドゴロ。二走の里崎は三塁へ進む。
・韓国、日本に代打宮本が出てきたところで、ソン・ミンハンに投手交代。
1:宮本 2死三塁。青木の代打に宮本。1ボールからの2球目、低めの変化球を引っ張って、レフト前タイムリー。日本、4点目を追加。
2:西岡 2死一塁。1ストライク2ボールからの4球目、カーブをうまくひろって、セカンド後方へのポテンヒット! 一走の宮本は一気に三塁へ。
3:イチロー 2死一、三塁。1ストライクからの2球目、外角のストレートを左方向に流して、レフト前タイムリー! イチローのタイムリーで日本、リードを5点に広げる。
4:松中 2死一、二塁。1ストライクからの2球目、変化球を引っ掛けて、セカンドゴロ。
・日本の“ラッキー7”の攻撃は、福留の先制2ランを含む6長短打で5点を挙げた。
7回裏
・日本、代打で出た福留はセンターに入り、宮本はサードのポジションに入る。上原は続投して、7イニング目のマウンドに立つ。この回からペトコ・パークに小雨が降り出す。
3:イ・スンヨプ 2ストライク1ボールから2球連続ファウルを挟んでの6球目、外角のストレートで見逃し三振。
4:チェ・ヒソプ 2ストライク1ボールからの4球目、真ん中低めのフォークで空振り三振。
5:イ・ジンヨン 初球、ストレートを打たれて、センター前ヒット。
6:ソ・ジェセフ 2死一塁。試合途中からサードのポジションに入っているソ・ジェセフの初打席。2ストライクからの3球目、外角のストレートで見逃し三振。
・上原、韓国のクリーンアップを迎える7回もテンポのいい投球で無失点に抑える。
8回表
・韓国、ペ・ヨンスをマウンドに送る。
5:多村 1ストライクからの2球目、外角高めのカーブを打つと、打球は左中間の一番深いところに飛び込むソロ本塁打!
6:福留 1ストライク1ボールからの3球目、変化球を打ち上げてしまい、レフトフライ。
ここで雨が激しくなり、一時、試合中断となる。
45分間の中断後、試合が再開される。
7:小笠原 1ボールからの2球目、変化球を打ち上げてサードファウルフライ。
8:里崎 1ストライク3ボールからの5球目、真ん中のストレートをセンターに打ち返すヒット!
9:川崎 2死一塁。2ストライクからの3球目、外角のスライダーで見逃し三振。
・日本、多村のソロ本塁打でリードを6点に広げる。
8回裏
・日本、7回を3安打、無失点に抑えた上原に代わって、薮田がマウンドに上がる。
7:パク・ヨンテク パク・ジンマンの代打パク・ヨンテク。初球、スライダーを打って、ライトフライ。
8:ホン・ソンフン チョ・インソンの代打ホン・ソンフン。2ストライクからの3球目、内角のストレートがホン・ソンフンの左手に当たる死球。
9:キム・ミンジェ 1死一塁。2ストライク2ボールからの5球目、真ん中低めのフォークで空振り三振。
1:イ・ビョンギュ 2死一塁。1ストライクからの2球目、ストレートを打たれて、センター前ヒット。
2:イ・ジョンボム 2死一、二塁。初球、変化球で打たせて、ショートフライ。
・2番手・薮田、走者を出すも、好調のイ・ジョンボムを抑えて、得点許さず。
9回表
・韓国、9回のマウンドに上がったのはオ・スンファン。
1:宮本 1ストライク1ボールからの3球目、チェンジアップを打って、サードゴロ。
2:西岡 1ストライク2ボールからの4球目、ストレートを打つも、ショートゴロ。
3:イチロー 1ボールからの2球目、真ん中のストレートを打って、サードファウルフライ。
・9回にダメ押し点を入れたい日本だったが、1番からの好打順も3者凡退。
9回裏
・日本、9回裏のマウンドには守護神・大塚が上がる。
3:イ・スンヨプ 2ストライク1ボールから高めのストレートで空振り三振に打ち取る。
4:チェ・ヒソプ フルカウントからの6球目、スライダーが低めに外れて四球。
5:イ・ジンマン 1死一塁。2ストライク2ボールからの5球目、外角のストレートで見逃し三振。
6:ソ・ジェセフ 2死一塁。2ストライク1ボールからの4球目、スライダーが低めに逸れる間にイ・ジンマンが二塁へ進む。その後、ソ・ジェセフに粘られるも、最後はストレートで空振り三振。
日本、韓国に快勝して、決勝進出!
野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」は日本時間19日、サンディエゴのペトコパークで準決勝が行われ、日本が6−0で韓国を破り決勝戦に進出した。日本は同21日午前11時、世界一をかけてキューバと対戦する。3番イチローは3安打1打点2盗塁と活躍した。
WBC準決勝、韓国戦――イチローはゲームセットの瞬間、中堅手・福留のもとへ駆け寄った。抱き合って勝利を喜ぶ二人に左翼手・多村の笑顔も加わった。「最高の気持ちです」。心の発露が言葉になった。
「向こう30年は日本に手は出せないな、という感じで勝ちたいと思う」。開幕前に今大会にかける意欲を示したはずの発言が、曲解されたまま独り歩きした。「イチロー・スズキ」。その名前がアナウンスされる度に、スタンドに沸き起こるブーイングの嵐。韓国の金寅植監督は言う。「韓国の野球界が侮辱を受けたと感じたからだ」
その後もイチローの「野球人生で最も屈辱的な日」(2度目の敗戦で)、「同じ相手に3回も負けることは許されない」(準決勝前)といった発言が連日、大きく取り上げられていた。
もちろん、イチローにそんな意図は全くない。それでも、弁解はしない。この日の記者会見では、「ブーイング? 大好き。もう少し強い方がよかった」とさえ言った。そんな言動は、自らを鼓舞すると同時にチームに降りかかる余計なプレッシャーを一手に引き受けようという思いの表れだろう。
「野球は、けんかではない。でもそんな気持ちで戦った」。決死の覚悟で臨んだ韓国との3戦目。イチローが気迫とプレーで発信したメッセージをチーム全体が受けとめ、日本は韓国に雪辱を果たした。
ロッテ・バレンタイン監督
日本の勝利に敬意を表する。キューバはいいチーム。がんばってほしい。私の気持ちはいつも日本代表と一緒にいる。今回の日韓の活躍で世界にアジアの実力を示せたと思う。
巨人・原監督
(勝利と)聞いてなんか熱くなりましたね。非常にカッカと熱くなる感激がありました。(上原が好投し)自分のチームの人間が活躍したこともうれしい。(優勝まで)あと一つ。何とかがんばってほしい。
楽天・野村監督
良かったね。ここまできたら優勝しないと。決勝では、渡辺俊を投げさせればいい。キューバは下手投げが打てない。
ヤクルト・古田監督
今のチームならキューバを倒す力は十分にある。何かが見えてきましたよ。いろいろあったけど、ここまで来たら世界一になってほしい。
ヤンキース・松井秀喜外野手
王監督の代打策すごかった。上原は簡単には打たれないだろうと思った。大舞台で自分のピッチングができる。制球がいいから大きな間違いがない。福留に宮本さんと、王監督の代打策はすごかった。決勝も応援しています。