「朝食をきちんととった方がやせる」といわれる。本当だろうか。
米厚生省は88〜94年、朝食をとっているかどうかと、朝食の品目について、1万6000人以上を対象に調査した。その結果、肥満度の判定に使う体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数「BMI」は、朝食をとっていない人の方が高い傾向になった。食事内容では、朝食で穀類・米を中心にとっている人のBMIが最も低かった。従来の和食の朝食は「理想の朝食」といえそうだ。
シリアル類、果物・野菜を中心にとっている人のBMIも、朝食をとっていない人より低かった一方、乳製品や肉・卵が中心の人のBMIは、朝食をとっていない人より高かった。 ニュージーランドなどの研究者の論文によると、食事回数と体重に明確な関係はなかった。国立健康・栄養研究所の佐々木敏・栄養所要量策定企画・運営担当リーダーは「食事をいつ、何回食べるかよりも、何をどれくらいの量食べるかが大切だ。摂取エネルギーも、1週間単位くらいで過不足なくとることを心がけてほしい」と話す。 寝る前の食事については、「夜は消化機能をつかさどる副交感神経が優位に働くため、食べたものの吸収が高まり、肥満につながる」との説がある。しかし、米国の研究チームは昨年、サルを使った実験で、食事をとる時間と体重増に相関関係はなかったと発表した。「摂取するエネルギー量が問題であり、寝る前に食べると太るというのは伝説にすぎない」としている。