摂取直後に「脳内麻薬」=つい油もの…快感感じてやめられず−仕組み解明・京大 ついつい食べてしまうラーメンやフライなどの油もの。高カロリーの油脂を多く含む食べ物がやめられない原因として、摂取直後に大量の「脳内麻薬」が分泌され、快感を感じる仕組みがあることを、京都大大学院農学研究科の伏木亨教授らの研究グループが18日までに、突き止めた。
同じ快感レベルの低カロリー油などができれば、肥満防止や改善につながる可能性もあるといい、注目を集めそうだ。26日に京都市で開かれる日本農芸化学会で発表される。 サンマの脂がおいしいのは? 北海道東部の漁港で今月下旬、大型船によるサンマ漁が解禁され、サンマが初水揚げされた。サンマといえば秋。脂がしたたり落ちる塩焼きはとてもおいしい。人は脂のおいしさをどうやって感じているのか。 人が脂のおいしさを感じるメカニズムを研究してきた伏木亨京都大大学院農学研究科教授(栄養化学)は「サンマに限らず、トロや霜降り牛肉、植物油などさまざまな脂は脳を刺激し、興奮させる作用がある」と話す。 脂は味がなく、甘みや苦み、うまみといった味覚ではない。しかし、味覚と似た仕組みで脳に刺激を伝達する。舌の味細胞にある受容体「CD36」が魚や牛、植物の脂肪酸と結合し、刺激を脳に伝え、興奮作用のあるβ(ベータ)エンドルフィンを分泌させる。ただし、「人は脂を好んで取るが、中毒になるほどの依存性はない」(伏木さん)という。 こうした働きは唐辛子にもあり、刺激によって食欲増進を助ける、いわば「第二の味覚」だ。人は味覚のほか、脂や唐辛子の刺激、歯ごたえ、舌触り、色など触覚、視覚による刺激を総合しておいしさを感じる。 一方、魚の脂には血液をさらさらにするDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった多価不飽和脂肪酸が多く含まれ、心筋梗塞(こうそく)などに対する予防効果がある。
漁業者でつくる大日本水産会の松沢正明企画課長は「魚は体にいいので、旬のものをおいしく食べてほしい」と話す。最も効率よく脂を摂取できるのは刺し身で、煮物や焼き物の吸収率は8割、てんぷらは鍋の中の油に魚の脂が浸透してしまうので半分になるという。