「ホタルの光」が黄緑色に光る秘密は、発光に関係する酵素ルシフェラーゼの立体構造にあることが、わかった。理化学研究所播磨研究所の加藤博章チームリーダーや京都大の中津亨・助教授らの研究チームが解明し、16日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
ホタルの発光は、発光のもとになるたんぱく質が、この酵素と反応して、発光体になることで起きる。 黄緑に光るには、赤く光るより多くのエネルギーが必要で、ホタルは、発光体の化学エネルギーの約9割を発光エネルギーに変えて光っている。だが、色の決まる仕組みは不明だった。 研究チームは、ゲンジボタルのこの酵素を精製し、たんぱく質と反応させた。大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)で、反応中の酵素の立体構造を調べた結果、取り込んだ発光体を、かなり緊密に囲んでいる構造であることが分かった。一方、酵素のアミノ酸を一つだけ変えて囲みを緩めると、赤く光るようになった。酵素が、発光体の化学エネルギーを逃がさない構造になっていることが、黄緑色の光を生み出していた。 中津助教授は「ホタルの光は精巧な分子装置で制御されていた。新しい発光システムの開発などにつながる可能性がある」と話している。