米航空宇宙局(NASA)は10日、火星探査機マーズ・リコネッサンスが予定の火星周回軌道に入ったと発表した。現在の細長い楕円(だえん)軌道から約半年がかりで徐々に減速し、観測用の低軌道に移る。11月には本格観測を始める予定だ。
探査機は火星に南極側から接近。米東部時間10日午後4時24分(日本時間11日午前6時24分)、火星からの高度約400キロの地点で、周回軌道に入るためのエンジン噴射を開始した。 その後、地球から見て火星の裏側に入ったために通信が途絶えたが、同午後5時16分(同午前7時16分)、火星の裏側を抜けて、予定通り地球から見える位置に現れ、通信再開が確認された。 探査機は超高解像度カメラや水の痕跡を探す観測装置などを搭載し、従来の探査機よりも低い高度255〜320キロから、火星の大気や地表の様子を詳しく調べる。観測データは、NASAが07年と09年に打ち上げる予定の2機の無人探査機の着地点選びや、将来の有人活動の基礎データなどとして役立てる。