「ニセの石ころでスパイ活動」?石ころに見せかけた通信機器を使ってモスクワの英国大使館員がスパイ活動をしていたとするビデオをロシア連邦保安局(FSB)が公開し、スパイ映画さながらの映像が関心を集めている。
FSBはこの大使館員がロシアの非政府組織(NGO)への資金提供を担当していたと非難するなど、国際的な批判を浴びているロシアのNGO規制の動きを正当化する狙いがあると見られる。 プーチン大統領は今月10日、国外資金の政治活動への使用禁止を盛り込んだNGO規制法に署名。25日には「なぜNGO活動を規制する法律を作ったかが理解されただろう」と述べた。 問題のビデオは22日にロシアテレビの報道番組で放映された。英国大使館職員4人と英国情報機関に雇われたロシア人による情報工作とされ、道端に置かれた電子機器を埋め込んだニセの石ころを足先で動かす場面などが映っていた。 番組は、この電子機器を中継して情報がやりとりされていたと解説。工作にかかわった大使館員の1人がNGOへの大使館の資金提供を承認する文書に署名していたと指摘した。 FSBの報道官は23日の記者会見で番組内容を追認し、「重要なことはスパイ活動をしている者がNGOへの資金を提供している事実だ」と強調した。スパイ活動の内容は明らかにしなかった。 英外務省は23日の声明でロシアのNGOへの財政支援は透明な形で行われていると強調。資金提供を受けたとFSBに名指しされた人権団体「モスクワヘルシンキグループ」のアレクセーエワ代表はロイター通信に対して「反NGO宣伝だ。旧ソ連のやりかたの完全な再現だ」と述べた。